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陸上

「心身ともに劣っている」「感覚的に熱がある」蝕む恐怖や不安。自信の根拠がない中、難病経験の福部真子が起こした“奇跡”【世界陸上/女子100mH予選】

THE DIGEST編集部

2025.09.15

福部が女子100メートル障害で準決勝進出。写真:梅月智史(THE DIGEST写真部)

福部が女子100メートル障害で準決勝進出。写真:梅月智史(THE DIGEST写真部)

「えっ、えっ、えっ、やったー!!」

 9月14日に行なわれた東京世界陸上の女子100メートル障害予選、レース後のインタビューで初めて準決勝進出を知った福部真子(日本建設工業)はそう絶叫しながら喜んだ。予選5組で上位3人に入れず、各組4位以下の選手の中でタイム上位6人に入らなければセミファイナルに進めなかった状況で、本人は「落ちたと思っていた」中での反応だった。

 苦しいレース展開だった。実際、福部は次のように反省している。

「スタートで出遅れた感覚の中で、海外の選手が力強くどんどん前に進んでいって。離れちゃいけないと思いながら必死に走った1本でした。何もできなかったというのが正直な感想です」

 24年パリ五輪後に原因不明の高熱が出る「菊池病」に苦しんだ時期もあった。そして今年7月の日本選手権(3位)後、発熱で十分な練習をこなせないもどかしさもあり、不安を抱えての東京世界陸上となった。

「オレゴン(22年世界陸上)とパリ(24年五輪)の時と比べ、自分の状態がやはり心身ともに劣っているというか、それを分かったうえでどう鼓舞していくかっていうのが初の体験だったので、すごく難しかったです」
 
 ある意味、恐怖や不安との戦いだった。自信に繋がる根拠が見当たらない中で福部がすがったのは“なんとかなる精神”だった。

「今シーズンはタイムが出る材料もないし、その根拠もない中で7台、8台っていうところで走れてたので、なるようになるかって思いながらやっていました。体温計は手に取らず、不安要素はひとつでも消したかったので。熱があるのは感覚的に分かっているけど、数字を見るのと見ないのとは全然違うので。ずっと今シーズンは熱がある中でも走ってきたので、もうそういうのは関係なしで走れました」

 実を言えば、レース前は少し怖気づいていた。「海外選手の動きを見て怖気づいてしまって。自分のダメなところばかりを思い浮かべてしまって。ちょっとネガティブな感じでした」。しかし、「会場に入ったらたくさんの声援が聞こえて、クヨクヨしている場合じゃない」と邪念を払拭できた。万全なコンディションでなくても準決勝進出という“奇跡”を起こせた背景には会場の力もあった。

 その国立競技場で開催される女子100メートル障害準決勝は9月15日(21時05分開始予定)に行なわれる。

「次は得意な夜なので、大丈夫だと思います。日本記録付近、もしくは日本記録更新は目指していきたい」

 予選で不安と恐怖に打ち勝った福部が準決勝でまた違ったレースをしてくれることを願いたい。

構成●THE DIGEST編集部

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