あえて明言を避けてきたのだろう。
昨年、19歳でラグビー日本代表となった矢崎由高は、折からの故障を治して迎えた今年10月から動くナショナルチームに帯同するかどうかが注目されてきた。
まず、最初に発表されたスコッドにはその名がなかった。約9年ぶりに復帰して2シーズン目のエディー・ジョーンズヘッドコーチはこう説いた。
「大学生選手も注目した人はいたが、リーグに専念したいという理由で参加できないとのことだった」
真相は――。本人は、その時期に出た所属する早大の公式戦の後にこう述べた。
「そういうの(代表関係のやりとり)は、僕だけのこと。(招集依頼が)あったも、なかったも、どうなるか、どうならないかも、ノーコメントで」
もっとも12日には予備軍にあたるJAPAN XVの一員として正代表の宮崎合宿へ混ざり、18日にはJAPAN XVの対オーストラリアA代表戦でプレー。フィジカルバトルで苦しみ7―71と大敗後、その翌週以降の大一番に出られるのかどうかを問われた。
ここでも当事者は、近い未来についてはっきりとは述べなかった。
「(正式決定後に)あ、そうだったんだ、と思ってもらえれば」
大半の代表戦士が加盟する国内リーグワンは、いまは開幕前である。かたや矢崎のいる早大は、ちょうどシーズンの真っただ中にある。
名門大の推薦入試組である自分と世界を目指したい自分との折り合いをつけるべく、矢崎は慎重に言葉を選ぶ。
ただ別な場所では、会話の流れでこう示唆していた。
「もちろん日本代表は、ラグビーをしていくうえで誰しもが目指す道だと思うので、僕もそこを目指していけたらなと思います」
25日、東京・国立競技場。オーストラリア代表戦に持ち場のフルバックで先発して最後まで戦った。15―19。
その後は欧州遠征へも帯同し、現地時間11月1日、イングランドのウェンブリースタジアムで南アフリカ代表戦に出た。
世界ランクで12上回る1位の強豪から唯一のトライを奪ったのは後半12分。ペナルティーキックの速攻から持ち前のスピードを活かした。
それ以外のシーンでもフィールドの隙間を縫う好キックを繰り出せたし、高い弾道の競り合いで相手のプレッシャーを受けたという課題さえも肥やしにしそうだった。
「世界一の南アフリカ代表とやれるのは、本当に貴重な経験だと思います」
7-61で屈した直後、オンライン会見で覗かせた顔つきは平時より朗らかに映った。
ちなみにスプリングボクスと呼ばれるこちらの艦隊には、リーグワンのクラブに在籍する選手も揃っている。
矢崎は、世界一有名なアスリートの名言である「(強大なライバルに)憧れるのを辞めましょう」を引き合いに出して述べた。
「他のチームよりも日本のテレビで見ている選手がたくさん、僕の目の前にいて、アップをしている時は本当にすごいな…って。…ただ、大谷翔平選手じゃないですけど、『すごいな』では対等に勝負できないと思い、本当に勇気を持ってやるというマインドを持てた。それも、いい経験でした。まぁ、経験で終わっちゃだめ。これが後々の僕のいい糧になると思うので、きょう、試合ができてよかったです」
早大の大田尾竜彦は、自軍のエースのスケジュールについてこう説明する。
「彼に早大で優勝する気持ちが強いなか、『自分にしかできないことはヨーロッパ遠征に参加することなのでは』と向こうから相談を受けました。長く考えましたが、いまは誰かに頼るのではなく結束してチームを作ってきている。(矢崎には)いましかできない経験をして、いいものを持って帰ってきてもらおうと思い、送り出しました」
向こうの時間で15日に敵地であるウェールズ代表戦まで、矢崎はジャパンにいる見込みだ。東京の指揮官に「非常に伸び盛り。本当に、怪我なく戻って来て欲しいです」と期待されるなか、同8日にダブリンであるアイルランド代表戦へ臨む。
構成●THE DIGEST編集部
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昨年、19歳でラグビー日本代表となった矢崎由高は、折からの故障を治して迎えた今年10月から動くナショナルチームに帯同するかどうかが注目されてきた。
まず、最初に発表されたスコッドにはその名がなかった。約9年ぶりに復帰して2シーズン目のエディー・ジョーンズヘッドコーチはこう説いた。
「大学生選手も注目した人はいたが、リーグに専念したいという理由で参加できないとのことだった」
真相は――。本人は、その時期に出た所属する早大の公式戦の後にこう述べた。
「そういうの(代表関係のやりとり)は、僕だけのこと。(招集依頼が)あったも、なかったも、どうなるか、どうならないかも、ノーコメントで」
もっとも12日には予備軍にあたるJAPAN XVの一員として正代表の宮崎合宿へ混ざり、18日にはJAPAN XVの対オーストラリアA代表戦でプレー。フィジカルバトルで苦しみ7―71と大敗後、その翌週以降の大一番に出られるのかどうかを問われた。
ここでも当事者は、近い未来についてはっきりとは述べなかった。
「(正式決定後に)あ、そうだったんだ、と思ってもらえれば」
大半の代表戦士が加盟する国内リーグワンは、いまは開幕前である。かたや矢崎のいる早大は、ちょうどシーズンの真っただ中にある。
名門大の推薦入試組である自分と世界を目指したい自分との折り合いをつけるべく、矢崎は慎重に言葉を選ぶ。
ただ別な場所では、会話の流れでこう示唆していた。
「もちろん日本代表は、ラグビーをしていくうえで誰しもが目指す道だと思うので、僕もそこを目指していけたらなと思います」
25日、東京・国立競技場。オーストラリア代表戦に持ち場のフルバックで先発して最後まで戦った。15―19。
その後は欧州遠征へも帯同し、現地時間11月1日、イングランドのウェンブリースタジアムで南アフリカ代表戦に出た。
世界ランクで12上回る1位の強豪から唯一のトライを奪ったのは後半12分。ペナルティーキックの速攻から持ち前のスピードを活かした。
それ以外のシーンでもフィールドの隙間を縫う好キックを繰り出せたし、高い弾道の競り合いで相手のプレッシャーを受けたという課題さえも肥やしにしそうだった。
「世界一の南アフリカ代表とやれるのは、本当に貴重な経験だと思います」
7-61で屈した直後、オンライン会見で覗かせた顔つきは平時より朗らかに映った。
ちなみにスプリングボクスと呼ばれるこちらの艦隊には、リーグワンのクラブに在籍する選手も揃っている。
矢崎は、世界一有名なアスリートの名言である「(強大なライバルに)憧れるのを辞めましょう」を引き合いに出して述べた。
「他のチームよりも日本のテレビで見ている選手がたくさん、僕の目の前にいて、アップをしている時は本当にすごいな…って。…ただ、大谷翔平選手じゃないですけど、『すごいな』では対等に勝負できないと思い、本当に勇気を持ってやるというマインドを持てた。それも、いい経験でした。まぁ、経験で終わっちゃだめ。これが後々の僕のいい糧になると思うので、きょう、試合ができてよかったです」
早大の大田尾竜彦は、自軍のエースのスケジュールについてこう説明する。
「彼に早大で優勝する気持ちが強いなか、『自分にしかできないことはヨーロッパ遠征に参加することなのでは』と向こうから相談を受けました。長く考えましたが、いまは誰かに頼るのではなく結束してチームを作ってきている。(矢崎には)いましかできない経験をして、いいものを持って帰ってきてもらおうと思い、送り出しました」
向こうの時間で15日に敵地であるウェールズ代表戦まで、矢崎はジャパンにいる見込みだ。東京の指揮官に「非常に伸び盛り。本当に、怪我なく戻って来て欲しいです」と期待されるなか、同8日にダブリンであるアイルランド代表戦へ臨む。
構成●THE DIGEST編集部
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