一時代の終焉が近づいている。

　英紙『The Telegraph』が現地12月８日、F1レッドブルのアドバイザーを務めるヘルムート・マルコ博士が退団すると報じた。

「退団の決定がすでに下されている。マルコ博士はチームを去る見込みだ」

　英モータースポーツ専門メディア『The Race』によると、アブダビGPで去就について問われたマルコ博士は、「話し合ってから、どうするか決める」と自身の去就について回答。「複雑でさまざまな要素が絡み合っている。一晩考えてみて、それからまた何か分かるかもしれない」と明言を避けていた。
  　オランダ紙『De Limburger』によると、退団の引き金のひとつになったのが2025年シーズン後半のアレックス・ダンとの契約だという。ダンについては、株主、ローラン・メキース代表、レッドブル社のオリバー・ミンツラフCEOが育成の構想に含めないと決定したにもかかわらず、マルコ博士が独断で契約。経営陣はダンとの契約を解除するために、数十万ユーロ（数千万円～１億円超）の違約金を支払った。

　マルコ博士はカタールGPで、メルセデスのキミ・アントネッリがランド・ノリス（マクラーレン）を意図的に抜かせたとの誤解を広め、19歳のドライバーに1000件以上の誹謗中傷が集まるきっかけを作った。この出来事も重鎮の立場を厳しいものにしたと、オランダ専門メディア『Racing News 365』は指摘している。

　率直なコメントで物議を醸す場面もあったマルコ博士は一方で、21年間で２人のワールドチャンピオンを送り出すなど、レッドブルの輝かしい功績を作り上げた功労者なのは間違いない。ただ、レッドブルは昨季から上級幹部の離脱が相次ぎ、今夏にはクリスチャン・ホーナー代表を電撃解任。チームは大きな転換点を迎えているようだ。

構成●THE DIGEST編集部

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