プロボクシングの世界スーパーバンタム級４団体統一王者・井上尚弥が現地12月27日、サウジアラビアのリヤドでWBC同級２位アラン・ピカソ（メキシコ）との防衛戦で、３対０（120対108、119対109、117対111）の判定勝ちを飾った。

　圧倒的な大差でプロ33戦全勝とし、世界戦27連勝の世界記録を更新した一方、９月のムロジョン・アフマダリエフ（ウズベキスタン）戦に続いて自身初の２連続判定決着となった。この一戦を踏まえ、ボクシングの達人たちは井上が今後歩むべきキャリアをどう見たのか。WBA世界ミドル級王者の竹原慎二氏が、自身のYouTubeチャンネル内で元WBA世界ライトフライ級王者の渡嘉敷勝男氏、２階級王者の畑山隆則氏と語り合った。

　まず畑山氏はピカソ戦について、「集中力が欠けているように見えました。だから、ガードとか、油断していたんじゃないとは思うけど、１ラウンドから、いつもの井上選手と違うような感覚は持ちましたね」と指摘する。
  　このピカソ戦を経て、井上は中谷との“ビッグマッチ”に臨むべきか、それとも階級を上げてフェザー級で５階級制覇に挑むべきなのか。３人のレジェンドの見解は真っ二つに分かれた。

　渡嘉敷氏は、早期の５階級制覇狙いを推す。理由を「スーパーバンタムでは（対抗できる）相手がいないんだから、中谷とやるよりも上の階級のフェザーを制覇した方がファンも嬉しいんじゃないかな」とし、こう続ける。

「４階級まで行ってバタバタ倒して頑張ってきたわけだから。フェザーまで行けると見てるわけだよ。だから早く。（現在32歳で）年齢もどんどんいっちゃうし」

　これに対し、畑山氏が「いやいや、ファンは中谷でしょう」と突っ込み、「日本人、世界のボクシングファンもですよ。中谷対井上は、今たぶん全階級を通じても１番のカードなんじゃないですか。だから実現してもらわないと」と主張した。

　竹原氏も同調し、「フェザー級に行ったら、どこまで井上チャンピオンのパンチが通用するんだろう。俺フェザー、スーパーフェザーとか楽勝で行くと思っていたけど、厳しいよね」と述べた。

　はたして井上陣営はどのような決断を下すのだろうか。今後の動向に注目だ。
　
構成●THE DIGEST編集部

【動画】渡嘉敷氏＆竹原氏＆畑山氏が井上vs.ピカソを解説