格闘技・プロレス

「またお金稼いでやります!」青木真也、43歳格闘家の答え合わせ…プロレスが“居場所”になった日

橋本宗洋

2026.04.27

プロレスのリングでケンドー・カシンと対戦した青木真也。自主興行は「答え合わせ」の場とした。写真:橋本宗洋

 青木真也と川尻達也と宇野薫が笑顔で並び、集合写真に収まっている。こんな光景が、まさか2026年に見られるとは。しかもここはプロレスのリングなのだ。

 4月20日、青木は初のプロレス自主興行『エイオキクラッチ01』を新宿FACEで開催した。MMAファイターとしてPRIDE、ONEなどで活躍してきた世界レベルの寝技師は、ここしばらくプロレスにも。IGFを経て現在はDDTなどで存在感を示している。

 
 青木がここまでプロレスにのめり込むとは予想できなかった。DDT参戦当初にインタビューすると「試合前もなるべく控室にいないようにしてます」と言っていた。あえて周囲となじまず"異物"であろうとしたのだ。

 ただプロレスラーは一つの興行を作り上げていく"一座"であり、プロレスとは一種の団体競技だ。青木はその奥深さに感応したし、周りの選手たちも青木の技術と対応力、プロレスに取り組む姿勢をリスペクトしていった。青木は格闘技界の異端児だ。だけどプロレス界は、異端の中の純粋さを受け止めた。青木自身も年齢を重ね、プロレスを吸収することで人間的にもプロとしても幅を広げたように見える。

 チケットがあっという間に完売した初の自主興行には、DDTはじめさまざまな団体から選手が参戦した。本戦前の宮脇純太vs高鹿佑也から熱のある攻防が展開。中継の解説を務めたのはスーパー・ササダンゴ・マシンだ。超多忙な中でスケジュールを調整し、大会開始前の"煽りパワーポイント"で客席を温める。

 第1試合はエル・リンダマンvs阿部史典。コアなプロレスファンにはたまらない実力者同士の初シングルマッチだ。オールラウンダー同士。シビアなグラウンド戦も予想していたが、2人は"笑い"の要素も多めにした攻防で沸かせまくった。ササダンゴのパワポに続いて、これで観客たちのノリがギュッとまとまっていく。

 超満員の観客、その最大公約数は"青木真也がやることに興味がある人たち"だろう。格闘技の青木しか知らない人も、プロレスはDDTしか見たことがないという人もいたはず。そんな観客たちがこれまで知らなかった選手を"発見"していくのも、オールスター的自主興行の醍醐味だ。

 第2試合ではセンダイガールズの橋本千紘が愛海と組み、パワフルな"怪物"ぶりで驚愕させる。対戦したマリーゴールド所属、山岡聖怜と山﨑裕花の果敢な闘いぶりも印象に残った。

 第3試合は男色ディーノvs川尻達也の超異色カード。"クラッシャー"の異名で日本MMAのトップを張り、UFCにも参戦した川尻はこれがプロレスデビュー戦にして引退試合。「青木が生きがいにしているものを味わってみたかった」という。

 試合はパンチ、キック、関節技で攻め込まれつつ、ディーノが川尻の尻と股間と唇を狙う。川尻は掟破りの逆リップロックまで繰り出したが、最後は男色ドライバーを食らって3カウントを聞いた。
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自主興行の第2回は「また一生懸命試合して、お金稼いでやります」