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「東京五輪出場の可能性も…」8年資格停止の孫楊が思い描く“大逆転のシナリオ”とは?

THE DIGEST編集部

2020.04.03

まだスイス最高裁に提訴していない孫楊。水面下でどんな準備を進めているのか。(C)Getty Images

まだスイス最高裁に提訴していない孫楊。水面下でどんな準備を進めているのか。(C)Getty Images

 新型コロナウイルスの感染拡大が深刻な欧州にあって、いまやスイス国内でも厳戒態勢が敷かれている。

 そんな状況下で、スイス連邦最高裁判所がひとつの声明を発表。3月21日から4月19日までの期間に提訴期限が設定された案件に関しては、その延長を認めるとしたのだ。およそ1か月近く、締め切りが猶予されるという。

 となると気になるのが、競泳界のスーパースター、孫楊に関する裁判だ。

 2月28日、スポーツ仲裁裁判所(CAS)は中国の英雄に8年間の資格停止処分を言い渡した。2018年9月に孫楊の別荘で実施された抜き打ちドーピング検査で、選手側が検査官の資格と正当性に異議を唱えて、血液検体の容器をハンマーで破壊。世界アンチ・ドーピング機関(WADA)の告発を受けたCASが審理を重ね、最終的に検査拒否の「有罪」とジャッジし、厳罰を下したのだ。

 すぐさま孫楊と弁護士団は与えられた権利を行使すると宣言。スイス連邦最高裁判所への提訴を決断したのである。

 ところが、30日以内とされる提訴期限(3月29日)を過ぎても、孫楊側から書類は提出されなかった。香港のポータルサイト『香港01』は「スイス連邦最高裁判所から事前に期限の延長を知らされていたのだろう。孫楊サイドが諦めるとは考えられず、じっくり策を練ってから正式に提訴に踏み切るはずだ」と予測。その一方で、「かと言って最高裁で逆転できるはずもない。状況は苦しいままだ」と論じている。

 むしろ同メディアが注目しているのは、WADAが2021年1月から施行する新ルールだ。さまざまな規定が刷新されるが、そのなかで「ペナルティーを受けた選手は国際競技団体に罰の軽減を請求できる」という条項がある。つまり来年1月になれば、孫楊はFINA(国際水泳連盟)に再審理を申し出ることができるのだ。

 今回のドーピング拒否事件において、最初にWADAから告発を受けたのはもちろんFINAだった。だが孫楊に対して口頭での注意を与えたのみで、昨年夏に開催された世界選手権への出場を認めてしまう。これを大甘裁定と問題視したWADAが、CASに提訴した経緯がある。

 
 今夏開催予定だった東京五輪は1年の延期が決まった。孫楊側はこれを追い風と捉えているようで、『香港01』は「五輪出場の望みが復活したのだ。FINAの決定によっては出場の可能性も見えてくるかもしれない」と伝えている。

 しかし万が一にもFINAが軽減を決断したとしても、「8年」が「1年」に縮小されるなど非現実的だろう。そもそも謝罪する気持ちがまったくない孫楊に対して、いまではFINA内や各国連盟、そして当然ライバルである選手たちからも批判の声が渦巻いている。

 せめて同情票を集められるならまだしも……。やはり裁定が覆る可能性は、きわめて低いと言わざるをえない。

構成●THE DIGEST編集部

【画像】世界選手権優勝の孫楊が記念撮影を拒否した選手を恫喝! その決定的写真はこちら!
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