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ゴルフ

渋野日向子が掲げる5大メジャー制覇の夢~初優勝後の”空回り”を乗り越えて一段上のレベルへ【黄金世代の歩み】

山西英希

2020.05.29

渋野は派手なゴルフをする陰で、基本的な練習は欠かさない一面もある。(C)Getty Images

渋野は派手なゴルフをする陰で、基本的な練習は欠かさない一面もある。(C)Getty Images

 日本の女子ゴルフ界では1998年4月2日から99年4月1日生まれの世代を“黄金世代”と呼ぶ。ツアーデビューして2、3年の経歴にも関わらず、世代全体の優勝回数が日米合わせて23勝を数えるのは脅威としか言いようがない。まさに黄金世代と呼ぶに相応しいが、その筆頭は渋野日向子だろう。今やゴルフ界だけでなく国民的なスターとなった渋野だが、あらためてその経歴を振り返る。

 18年7月に2度目の挑戦でプロテストに合格すると、翌19年5月に開催された国内メジャー・ワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップでツアー初優勝を飾る。2カ月後にツアー2勝目を挙げると、8月に開催されたAIG全英女子オープンで優勝。樋口久子以来、42年ぶりに日本人が海外メジャーを制した。帰国後も国内ツアーで優勝を重ね、年間4勝(全英は含まない)の賞金ランキング2位でシーズンを終えた。積極的にピンを狙っていくアグレッシブなゴルフとさわやかな笑顔はファンを魅了し、“スマイル・シンデレラ”のニックネームはピタリとそのキャラクターに当てはまった。
 
 渋野の強さは、冷静な自己分析と飽くなき向上心にあるのではないか。昨年、ワールドレディスで初優勝した後、思うようにスコアを伸ばせない時期があった。初優勝をするまでは予選通過を目指していたが、勝ったことで目標が一段上がり、2勝目、3勝目を意識した結果、それが焦りとなり、気持ちが空回りしていたという。「自分の実力よりも高いレベルを求めてしまっていたのが原因です」と振り返ったが、ニチレイレディスの最終日、9ラウンドぶりの60台となる68をマークした。「無理をせず、自分が今最低限できるショットやパットを心がけてプレーしたのがよかったですね」と分析したが、そういう修正能力が優れているのだろう。ゴルフの組み立てをリセットしたことで、翌週は4位に、翌々週には優勝を飾っている。

 また、AIG全英女子オープンから帰国後、渋野の練習量が減ることは一切なかった。海外メジャー制覇という偉業を達成して少しは気が緩みそうなものだが、トーナメント会場では周囲の喧騒を気にすることなく、黙々と練習グリーンでボールを転がす姿が見られた。もちろん、それ以外のところでも弛まぬ努力を続けていたことは想像に難くない。自分にはまだまだ伸びしろが残っていると信じているからであり、メジャー1勝は通過点に過ぎないのだろう。実際、その後の活躍を見ると、どれだけ成長するのだろうかと恐ろしさすら感じる。昨年末からはフィジカルトレーナーをつけて、3年計画でスピードとパワーのアップに努めるという。スイングとマッチしたなら、今まで以上の飛距離と正確性を得られることは間違いない。5つある海外メジャーをすべて制覇するのがチーム渋野の目標だが、達成する可能性は大いにあるだろう。
 

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