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冴え渡ったブロック!石川真佑対策もハマったJTが東レにリベンジで皇后杯を制覇

THE DIGEST編集部

2020.12.19

「ブロックとサーブを強化してきた」(吉原知子監督)JTが皇后杯を制した。写真:田口有史

「ブロックとサーブを強化してきた」(吉原知子監督)JTが皇后杯を制した。写真:田口有史

 2020年の最後を締めくくる、バレーボール頂上決戦。19日に東京・大田区総合体育館で行われた天皇杯・皇后杯バレーボール全日本選手権大会女子決勝は、JTマーヴェラスと東レアローズが対戦した。

 すでに開幕しているVリーグで、現在13連勝と無敗で首位を走る東レを、2敗で追うJT。11月の直接対決では東レが3-1で勝利しているが、皇后杯決勝、まず主導権を握ったのはJTだった。

 田中瑞稀のサービスエースや、ドルーズ・アンドレアの高さとスピードを活かしたスパイクで10-7と先行。しかし東レも今季からチームの主将を務める黒後愛、石川真佑の日本代表でも活躍する両エースがサービスエースで得点。中盤までは拮抗した展開が続いたが、試合の流れを引き寄せたのがJTのブロックだ。

 リーグでの敗戦から「ブロックとサーブを強化してきた」と吉原知子監督が振り返ったように、日本代表のミドルブロッカー芥川愛加を中心に、黒後、石川、クラン・ヤナとリーグ屈指の攻撃力を誇る東レに対し、ブロックで応戦。スパイクを止め、ただブロックポイントを重ねるだけでなく、スパイカーのクセや傾向を分析し、得意なコースをブロックで封じ、ブロックを避けようと別のコースへ打ってもそこにレシーバーを配置する。主将でリベロの小幡真子を中心とした鉄壁のレシーブ力でつないだボールをドルーズが決める鉄壁のスタイルで終盤に得点を重ね、25-21で第1セットを先取した。

 リベンジに向け、最高のスタートを切ったJTだが、ここまでVリーグで連勝を重ねる東レもこのまま黙っては終われない。第1セットは攻撃機会の少なかった石川が、日本代表のエースでもある兄の石川祐希を彷彿とさせる強烈なスパイクで、時にはブロックの横や間を抜き、また別の場面ではブロックに当てて弾き飛ばすような第2セットの序盤から積極的に攻撃を仕掛ける。小柄だが、相手ブロックをものともせず、強烈にコートへ叩きつける石川のスパイクで15-13と東レがリードする。
 
 しかしJTは乗って来た石川に流れは渡さない、とばかりに第1セット同様、ブロックとレシーブで東レの攻撃を封じ、中盤に連続得点。特にリーグで東レが勝利した際に攻撃の軸となった石川に対してブロックでドルーズをぶつけるなど、JTの石川対策が完璧に近い形で機能する。

 終盤にはピンチサーバーの橘井友香のサービスエースや、今季日本代表にも選出された林琴奈のブロックで東レを突き放し、第2セットも18-25と連取。第3セットも勢いは止まらず、この試合で最多30得点を叩き出したドルーズが次々スパイクを決め東レを圧倒。最後もドルーズのバックアタックが決まり25-17、3-0で勝利したJTが皇后杯初優勝を飾った。

 コロナ禍で迎えた皇后杯。吉原監督も「実際に大会が開催されるのか、直前まで不安だった」と振り返るように、選手の入館、退館時間も厳しくチェックされ、ウォーミングアップやクールダウンの時間も万全ではない中いかに戦うか。各チームにとっては、勝敗だけでなく難しい課題も突きつけられた中で行われた大会ではあったが、だからこそ勝利した喜びはひとしおだろう。JTの小幡主将は「選手だけでなくサポートして下さった方々、大会を運営して下さった方々、ファンの方々、大きな意味を含めた優勝だと思っているので光栄」と初優勝の喜びを噛みしめた。

構成●THE DIGEST編集部

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