[ラグビーW杯・プールB]ニュージーランド 71-9 ナミビア/10月6日/東京スタジアム
終了間際にとんでもないスーパープレーが飛び出した。主役を張ったのはニュージーランド代表のスクラムハーフ、TJ・ペレナラだ。
日曜日に東京スタジアムで開催されたラグビーワールドカップ、ナミビア戦(プールB第3戦)を71対9の大差で制したオールブラックス。前半はナミビアの大健闘と言っていい試合展開で、23対9で折り返した。だが、ハーフタイムにスティーブ・ハンセンHCに発破をかけられた超人軍団は後半に本領を発揮。猛烈なラッシュを仕掛け、終わってみれば11トライを挙げる圧倒ぶりで、今大会最多得点を叩き出したのである。
その78分だった。最後まで全力でトライを狙うニュージーランドは、ナミビアの左サイドをパワフルに攻略する。B・ウェバーがボールを背中から通すトリッキーなパスを送り、並走していたペレナラがそれを受けて一気に抜け出す。ナミビアもマーカーふたりが立ち向かって懸命にブロックを試みて、交錯しながらポール際でもつれ込み、ボールは転々と……。
レフェリーはすぐさまビデオ判定のTMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル)を発動。そしてそのスロー映像がオーロラビジョンで再生されると、5万観衆が大歓声を上げた。ノックオンを疑われたペレナラのトライだったが、激しい体当たりを食らいながらも揺るがず、左1本でものの見事にボールを掴んで着地させていたのだ。まさに神業とも形容できるビッグプレーだった。
試合後の記者会見で、ニュージーランド代表のハンセンHCは「真に特別なトライだった。わたしは滅多なことではしないんだが、思わず席から立ち上がってしまったよ」と冗談交じりに称え、S・ホワイトロック主将は「円陣を組んだときに力強く終わろう、とみんなで話していたんだ。どうなっていたのかはよく分からないけど、彼(TJ)が印象的なプレーで締めてくれたよ」と賛辞を贈った。
さらに、敵将であるナミビア代表のフィル・デイビスHCも手放しで称賛。「これだからラグビーは素晴らしい、そう言いたくなるトライだった」と評し、こちらも「シートから腰を上げてしまっていたよ!」と振り返った。 ところが、当のペレナラはいたって謙虚だった。あくまでお膳立てしてくれた僚友を褒め称えるあたりに、その人柄が垣間見える。
「最高にクールだったね。彼(ウェーバー)のテクニックが絶品だった。横に並んだときに僕は(パスを求めて)叫んだんだけど、まさかあんなところから出て来るとはね。あのプレーは本当にクールだったよ!」
マオリ族出身の“TJ”は、この日も試合前に行なうハカの先導役を務めた。ハカでチームに気合を注入し、ゲームのラストには、大会ベストに選ばれてもおかしくない鮮烈トライを決め込む──。日本のファンに、エンターテナーの真髄を見せつけた。
取材・文●川原崇(THE DIGEST編集部)
【PHOTO】ニュージーランド 71ー9 ナミビア|オールブラックスが今大会最多得点で3連勝!
【PHOTO】ニュージーランド×ナミビアを盛り上げたサポ―ターたち!
終了間際にとんでもないスーパープレーが飛び出した。主役を張ったのはニュージーランド代表のスクラムハーフ、TJ・ペレナラだ。
日曜日に東京スタジアムで開催されたラグビーワールドカップ、ナミビア戦(プールB第3戦)を71対9の大差で制したオールブラックス。前半はナミビアの大健闘と言っていい試合展開で、23対9で折り返した。だが、ハーフタイムにスティーブ・ハンセンHCに発破をかけられた超人軍団は後半に本領を発揮。猛烈なラッシュを仕掛け、終わってみれば11トライを挙げる圧倒ぶりで、今大会最多得点を叩き出したのである。
その78分だった。最後まで全力でトライを狙うニュージーランドは、ナミビアの左サイドをパワフルに攻略する。B・ウェバーがボールを背中から通すトリッキーなパスを送り、並走していたペレナラがそれを受けて一気に抜け出す。ナミビアもマーカーふたりが立ち向かって懸命にブロックを試みて、交錯しながらポール際でもつれ込み、ボールは転々と……。
レフェリーはすぐさまビデオ判定のTMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル)を発動。そしてそのスロー映像がオーロラビジョンで再生されると、5万観衆が大歓声を上げた。ノックオンを疑われたペレナラのトライだったが、激しい体当たりを食らいながらも揺るがず、左1本でものの見事にボールを掴んで着地させていたのだ。まさに神業とも形容できるビッグプレーだった。
試合後の記者会見で、ニュージーランド代表のハンセンHCは「真に特別なトライだった。わたしは滅多なことではしないんだが、思わず席から立ち上がってしまったよ」と冗談交じりに称え、S・ホワイトロック主将は「円陣を組んだときに力強く終わろう、とみんなで話していたんだ。どうなっていたのかはよく分からないけど、彼(TJ)が印象的なプレーで締めてくれたよ」と賛辞を贈った。
さらに、敵将であるナミビア代表のフィル・デイビスHCも手放しで称賛。「これだからラグビーは素晴らしい、そう言いたくなるトライだった」と評し、こちらも「シートから腰を上げてしまっていたよ!」と振り返った。 ところが、当のペレナラはいたって謙虚だった。あくまでお膳立てしてくれた僚友を褒め称えるあたりに、その人柄が垣間見える。
「最高にクールだったね。彼(ウェーバー)のテクニックが絶品だった。横に並んだときに僕は(パスを求めて)叫んだんだけど、まさかあんなところから出て来るとはね。あのプレーは本当にクールだったよ!」
マオリ族出身の“TJ”は、この日も試合前に行なうハカの先導役を務めた。ハカでチームに気合を注入し、ゲームのラストには、大会ベストに選ばれてもおかしくない鮮烈トライを決め込む──。日本のファンに、エンターテナーの真髄を見せつけた。
取材・文●川原崇(THE DIGEST編集部)
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