ゴルフ

渋野日向子の注目ポイントは「100ヤード以内」の距離感。実質3か月に満たないオフで、どこまで仕上げてきたか

山西英希

2021.03.04

2021年初戦を迎える渋野は、今後どのようなシーズンを送るのか。(C)Getty Images

 4日から始まる『ダイキンオーキッドレディス』で3か月ぶりに再開するJLPGAツアー。昨年12月に開催された『全米女子オープン』で単独4位と健闘した渋野日向子は、果たしてどのような活躍を見せてくれるのだろうか。

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 渋野にとって昨年はまさに激動の1年だった。19年に『AIG全英女子オープン』を制して一躍時の人となり、20年はさらなる成長を期待されて開幕戦を迎えるはずだった。ところが新型コロナの影響で6月末までずれ込んだこともあり、開幕から3試合連続で予選落ちを喫する。まさかのスタートダッシュ失敗に多くのゴルフファンが騒然としたが、徐々に調子を取り戻し、国内ツアーの終盤2戦を5位、3位タイでフィニッシュ。その勢いで臨んだ『全米女子オープン』では単独首位で最終日を迎えて復活をアピールした。
 
 国内外合わせて13試合の出場ながら、密度の濃い喜怒哀楽を味わったのではないだろうか。もちろん、ハードだった1年の見返りはある。日本と海外の大会ではコースセッティングが大きく違うこと、同じ米国でも地域によって芝質が大きく異なること、海外のゴルフ場がどれだけ恵まれた環境にあるかなどを理解できた。さらに、自分が目指す米ツアーで年間を通して戦うには何が必要か、再びメジャーを制するには何が足りないのか、日本と海外を行き来するうえで大切なことは何かなども実感できたからだ。

 このオフは実質3か月に満たなかったものの、頭の中を整理できていた分、自分のテーマに合わせた練習を行なえるだけの時間はあっただろう。その一つが、100ヤード以内の縦距離を合わせることだ。海外の試合では、ティショットをラフに入れると、第2打でグリーンを狙えない場合が多い。昨年、一度フェアウェイに刻んでからグリーンを狙う渋野の姿を何度か見たが、この場合ポイントを握るのがまさにその距離になる。

 逆に言えば、100ヤード以内の距離感が今まで以上によくなれば、ティショットへのプレッシャーも小さくなるだろう。また、パー5でバーディを欲しいときでも、無理に2オンを狙わず3打目勝負でもいいと思える。グリーンが硬いだけでなく、ピンの位置やグリーン周りの長いラフなどコースセッティングが厳しい米ツアーでは、コースマネジメントの幅が広いほうが絶対に有利。確実に1パット圏内にボールを止めることができれば、それだけで大きな武器になる。渋野がどこまで距離感を磨いてきたのか要注目だ。