2021年のF１世界選手権は今週末、バーレーン・グランプリで幕を開け、過去最多となる23戦の長い戦いに突入していく。

　世界で20人の精鋭ドライバーに選りすぐられた角田裕毅は今季、スクデーリア・アルファタウリからF１デビューする。オフに可能な限りの準備を終え、今回は最高峰のレースへ向けての意気込みや自信、将来の目標を、英国の日刊紙『Daily Mail』に語った。

　16年のフォーミュラーカーレース・デビューから、わずか６年目でのF１到達は、才能の高さを窺わせる最大のエピソードと言えるが、自身も「F４時代にもF１を目指してはいましたが、まさか20歳でそれを達成できるとは思いませんでした」と、驚きの展開だったようだ。

　さらに、開幕前の心境については「何が起こるか分からないので、神経質になることもありません。グリッド上で何が起こるのかを楽しみにしています。今はドライビングとパフォーマンスに集中するだけです」とコメント。最高峰の舞台を前にしても、その言葉からは余計な不安を感じさせない。

　また、ブレーキングと追い越しを自身の最大の強みとしてきた20歳は、アルファタウリとの関係を「チームが僕のアグレッシブなドライビングを好み、それに対応してくれることが嬉しい。だから、今後も同じスタイルを貫こうと思います」とも語っている。

　今季は角田以外に、ハースからミック・シューマッハー、ニキータ・マゼピンもF1にデビューする。F２で王座を争ってきたこのライバルたちを、角田は「F１でも機能するはず」と評価。また、レジェンドを父に持つミックについて「継続性を持ってポイントを重ね、F２の王者になりました。継続性は今の僕の弱点でもあるので、彼から学ぼうと思います」と語るも、勝負に対しては自信を窺わせた。
  「正直言って、ハースよりもアルファタウリの方がチームとして強いと思うので、彼らより前でフィニッシュしなければなりません」

　今季の目標について「多くのポイントを獲得し、チームとしてトップ５に入ること」と掲げた20歳は、また個人としての野心も抱いている。それは、現在のチャンピオン候補筆頭と同じ土俵で勝負して勝つことだ。

「マックス・フェルスタッペン（レッドブル）は本当に速く、一緒に走りたいドライバーのひとりです。レッドブルも本当に良いチームで、いつかは昇格し、マックスと勝負したいと思います」

　そのためには、姉妹チームであるアルファタウリで結果を出す必要があることも当然、彼は理解しており、「今季のことだけを考え、まずはチームメイト（ピエール・ガスリー）を倒すことに集中して、多くのポイント獲得を目指します」と抱負を語った。

　また、周囲からはデビューイヤーでの表彰台も期待される中、「全てのドライバーが速いので、それは簡単ではない」と自覚する角田。９年前、鈴鹿で小林可夢偉が３位に入賞したときのことを「とても印象的でした」と振り返ると、偉大な先輩が表彰台から見た風景を自分も見てみたいと語った。７年ぶりの日本人ドライバーは、１年目にして何かを成し遂げるかもしれない。

構成●THE DIGEST編集部

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