中国競泳界のスーパースター、孫楊の周辺がふたたび騒がしくなってきた。
およそ3年間の長きに及んだドーピング拒否問題が、いよいよ最終局面を迎える。スポーツ仲裁裁判所(CAS)が孫楊に科した「8年間の資格停止」の採決が、スイス最高裁判所によってまさかの無効と差し戻されたのは、昨年末の出来事だった。審理を担ったCAS聴聞会のリーダーに人種差別的な思想があったとする弁護団の主張を、スイス最高裁がおおむね認めた結果だ。
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新たな3人のメンバーで再審査が行なわれる運びとなり、ようやくその日程が5月24~28日に決まった矢先である。中国水泳協会が思い切ったプランを打ち出したのだ。
中国国内では現在、東京五輪予選を兼ねた競泳の全国選手権が開催されている。5月8日まで続く同大会に、理由は明らかにされていないが、孫楊はエントリーしていない。聴聞会の結果が出る6月にでも、彼のためだけの記録会を強硬に実施するのではないか──。そんな憶測も流れるなか、具体的な案は提示されなかった。
欧米メディアはこれを受けて「孫楊が五輪出場を断念」「大逆転劇は起こらなかった」などと報じたわけだが、事態はすぐさま急転する。大会が開幕してから中国協会が急きょ声明文を公開。「2019年に韓国で行なわれた世界選手権(世界水泳)において、金メダルを獲ったすべての選手に東京五輪の出場資格を与える」と発表したのだ。
競泳で言えば、自由形200メートル&400メートルの孫楊と、背泳ぎ100メートルの徐嘉余の2選手しか該当しない。後者は今回の予選会に出場しており、自力で出場権を得られる実力を持つ。すなわち、あからさまに孫楊を救済するための、東京五輪出場を後押しするための“緊急特別ルール”が飛び出したのである。
中国協会にしてみれば、やはり孫楊の欠場は手痛い。29歳の英雄に代わってメダルを狙える自由形スイマーは見当たらず、孫楊に出場の可能性が残されているかぎり、なりふり構わずバックアップしようと考えたのだろう。
しかしながら当然、世界のメディアやファンの目は冷ややかだ。
およそ3年間の長きに及んだドーピング拒否問題が、いよいよ最終局面を迎える。スポーツ仲裁裁判所(CAS)が孫楊に科した「8年間の資格停止」の採決が、スイス最高裁判所によってまさかの無効と差し戻されたのは、昨年末の出来事だった。審理を担ったCAS聴聞会のリーダーに人種差別的な思想があったとする弁護団の主張を、スイス最高裁がおおむね認めた結果だ。
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新たな3人のメンバーで再審査が行なわれる運びとなり、ようやくその日程が5月24~28日に決まった矢先である。中国水泳協会が思い切ったプランを打ち出したのだ。
中国国内では現在、東京五輪予選を兼ねた競泳の全国選手権が開催されている。5月8日まで続く同大会に、理由は明らかにされていないが、孫楊はエントリーしていない。聴聞会の結果が出る6月にでも、彼のためだけの記録会を強硬に実施するのではないか──。そんな憶測も流れるなか、具体的な案は提示されなかった。
欧米メディアはこれを受けて「孫楊が五輪出場を断念」「大逆転劇は起こらなかった」などと報じたわけだが、事態はすぐさま急転する。大会が開幕してから中国協会が急きょ声明文を公開。「2019年に韓国で行なわれた世界選手権(世界水泳)において、金メダルを獲ったすべての選手に東京五輪の出場資格を与える」と発表したのだ。
競泳で言えば、自由形200メートル&400メートルの孫楊と、背泳ぎ100メートルの徐嘉余の2選手しか該当しない。後者は今回の予選会に出場しており、自力で出場権を得られる実力を持つ。すなわち、あからさまに孫楊を救済するための、東京五輪出場を後押しするための“緊急特別ルール”が飛び出したのである。
中国協会にしてみれば、やはり孫楊の欠場は手痛い。29歳の英雄に代わってメダルを狙える自由形スイマーは見当たらず、孫楊に出場の可能性が残されているかぎり、なりふり構わずバックアップしようと考えたのだろう。
しかしながら当然、世界のメディアやファンの目は冷ややかだ。