格闘技・プロレス

「敬意を取り戻すのは容易ではない…」井岡一翔の騒動に米メディアも反応! JBCの検体管理に「過失は明確だ」と苦言

THE DIGEST編集部

2021.05.22

昨年末の大晦日に王座防衛に成功していた井岡だが、試合後に浮上した疑惑に大きく悩まされることになった。写真:産経新聞社

 WBO世界スーパーフライ級王者の井岡一翔(Ambition)のキャリアが世界的に注目されている。

 問題となったのは、昨年の大晦日に開催された田中恒成との防衛戦でのドーピング検査での結果だ。A検体から大麻成分、その後、B検体の一部からエフェドリン、フェネチルアミン、チラミンの禁止薬物が検出されていたと疑惑が浮上した。

 しかし、今月18日に日本ボクシングコミッション(JBC)が設置した倫理委員会により「違反は認められなかった」と認定。偽陽性が出た原因として、JBC職員が井岡の尿検体を自宅の冷蔵庫で保管し、一度も冷凍保存せずに検査機関に持ち込んだと指摘されている。

 このずさんな管理に井岡側は19日に開かれた記者会見で「信頼していたが、初めて知って驚いた。保管、検査方法に不備があること、このような騒動を生じさせた責任を求めたい」と主張している。

 現役チャンプが渦中の身となった今回の騒動は海外にも波及。米ボクシング専門メディア『Boxing Scene』は、「イオカはキャリア最大の勝利を取り巻くドーピング検査による不正疑惑をクリアにさせたが、その結果は彼を祝勝ムードにさせたわけではない」と報道。さらに「保管手順を誤った委員会の過失は明確だ」とJBCを糾弾したうえで、井岡の今後について、次のように見通した。
 
「イオカは以前にも目に見えるように入ったタトゥーの問題でJBCと騒動を起こしていた。彼は時代遅れのルールを持つJBCに嫌われ続けている。そして今回の騒動だ。本人もJBCには失望したことだろう。次戦は未定だが、米国に戻るという話もある」

 スーパーフライ級はWBAスーパー&WBC王者のファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)など多士済々だ。ビッグマッチを熱望する井岡だけに、再渡米も想像に難くない。しかし、同メディアは「今回の調査結果を受け、イオカのアメリカへの再侵攻は保留となった」と見る。

「不正行為がなかったとしても、彼の日本人初の4階級制覇という歴史的なキャリアにおける次のステップや、それにふさわしい敬意を取り戻すのは容易ではなく、険しいままだ」

 疑惑が晴れた井岡だが、再出発に向けた道のりは、今のところ前途多難だ。

構成●THE DIGEST編集部
NEXT
PAGE
【動画】世界を驚かせたスピード! 井岡のファイトパフォーマンスはこちら