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「東京五輪への道は消滅した!」“ドーピング検査拒否”の孫楊に最終判決が下る! 8年→4年3か月に大幅減刑も有罪は覆らず

THE DIGEST編集部

2021.06.23

減刑はされたものの長期資格停止に変わりはない。はたして孫楊はパリ五輪を目ざすのか、それとも──。(C)Getty Images

 競泳界のみならず、スポーツ界全体を揺るがしてきた一大騒動に最終判決が下された。

 現地6月22日、スイスのスポーツ仲裁裁判所(CAS)はひとつの声明を発表。中国競泳界・自由形のスーパースター、孫楊を巡る一連のドーピング検査拒否問題について、昨年2月に言い渡した「8年間の資格停止処分」から「4年間と3か月の資格停止処分」に減刑すると明かしたのだ。
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 5月下旬に完全非公開で開催されたのが、新たなメンバーによって構成されたCAS聴聞会だ。前回の聴聞会では孫楊側の用意した通訳のレベルが拙いうえ、強硬な姿勢が目につき、聴聞会メンバーの心証を悪くしたとされる。だが、今回はずいぶん違ったようだ。

 中国大手スポーツ紙『新浪体育』は「今回の減刑判定にはふたつの要因があった」と説明。ひとつは、孫楊側がロシアのドーピング問題で辣腕を振るった世界的弁護士を雇い入れて、戦略的にいっさいのミスを犯さなかった点。無理なくスムーズに主張を展開したという。そしてもう1点は、今年1月に改訂された「世界アンチ・ドーピング規定」の存在だ。CAS側がこれに最大限の配慮を示したため、資格停止期間が大幅に修正されたと見られる。
 
 それでもドーピング検体をハンマーで破壊した事実は揺るがず、有罪判定そのものは覆らなかった。「4年間」は実際の妨害行為に対する裁定で、「3か月」は2014年に続く2度目のドーピング規約違反のため、上乗せされたという。米紙『New York Times』は「長引いた闘争にようやく終止符が打たれた。孫楊の東京五輪への夢は完全に消滅したのだ」と報じている。

 資格停止期間のスタートは、CASが最初に「8年間」の裁定を下した2020年2月であり、単純計算すれば、2024年5月に満了となる。2024年夏開催のパリ五輪にはギリギリで間に合う。とはいえ『新浪体育』紙は、「現在孫楊は29歳。活動停止期間がおよそ半分にはなったが、残酷な結末に終わったことは否めない。彼は引退かどうかの大きな決断を迫られるだろう」と危惧する。

 ハンマー破壊事件が起こったのが2018年9月。あれから足掛け2年半に及んだ大騒動が、いよいよ終息を見た。はたして五輪で3つの金メダルを獲得した中国の英雄と、彼を支援するグループは今回の裁定を受けてどんな反応を見せるのか。その動静に注目が集まる。
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孫楊のドーピング違反疑惑とは──。3年半に及ぶドタバタ劇の全貌を一挙読み

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