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ラグビー

【10.20ドキュメント】8強決戦のピッチで何が起きていたのか?南アフリカ監督・選手が明かした日本戦の"真相"【ラグビーW杯】

多羅正崇

2019.10.23

3-26という大敗の裏には、南アフリカの周到な準備とリベンジへの強い想いがあった。(C)Getty Images

3-26という大敗の裏には、南アフリカの周到な準備とリベンジへの強い想いがあった。(C)Getty Images

 南アフリカのロッカールームは静かだった。前半を終えてスコアは5-3。得点は開始4分にWTBマカゾレ・マピンピが挙げた1トライのみ。リードはわずか2点しかなかった。

 南アフリカの指揮官であるヨハン・エラスムスHC(ヘッドコーチ)はチームの動揺を見て取った。

「ハーフタイムで数点差しかなく、ロッカールームは静かでした。私たちは本当にハーフタイムで不安を抱えて、緊張していました」

 10月20日の東京スタジアム。ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の準々決勝で、初の8強進出を遂げた日本と、2007年大会以来の優勝を目指す南アフリカが激突した。

「スプリングボクス」の愛称で知られる優勝候補は、前半に再三チャンスを作りながら1トライのみ。このまま不安が広がれば、32-34で敗れた2015年大会の二の舞になりかねない――。

 エラスムスHCはスプリングボクスの歴史に名を残す名将だ。指揮官をひと言で表現してほしいとメディアに言われたHOボンギ・ンボナンビは「インテリジェンス」と答えた。

 前指揮官時代は2年間で勝率44%(11勝12敗2分)だった南アフリカをV字回復させ、2019年の南半球4確認して国対抗を初制覇に導いた。スプリングボクスの威光を取り戻した名将はこの日も冷静沈着だった。
 
「努力が足りないと思ったら厳しいことを言いますが、たとえばパスの失敗など、スキルのミスは自信を取り戻すような言葉を言ったほうが良い」
 
「日本が粘り強く集中して向かってきたことが、前半の結果(5-3)だと思います。選手たちを落ち着かせて戦術を実行しようとしました。選手達同士でも話をしていましたね」

 南アフリカ代表初の黒人主将、FLシヤ・コリシはハーフタイムで仲間にこう声を掛けている。

「とにかくお互いを信じようと。また、スクラムとモールは上手くいっていると話しました。ボールを保持して、ドライビングモールでトライも狙おうと。とにかくポジティブな話をしました」

 そして運命の後半戦が始まった。

 南アフリカはそのSOポラードがペナルティ獲得のたびにPG(ペナルティーゴール)を狙った。トライ志向だった前半から、確実に得点を上積みする戦い方に切り替えていた。

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