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新谷仁美が5000mで五輪内定も悔し涙。信頼を置く横田コーチは「『棄権していいよ』と言ってくれた」

THE DIGEST編集部

2021.06.28

今年に入って調子が上がらず苦しむ新谷。五輪までに復活を期待したい。写真:本永創太

 東京オリンピック代表選考会を兼ねた陸上の『日本選手権』の最終日となった6月27日、女子5000メートルで新谷仁美(積水化学)が15分13秒73で2位に入り、10000メートルに続き2種目目の五輪内定を決めた。

 喜ばしいニュースだが、新谷はレース後に悔し涙を流しながら「今日のレースは0点だった」と反省の言葉を口にした。昨年12月の10000メートルで叩き出した日本新(30分20秒44)の5000メートル通過である15分7秒よりも遅いタイムだったためだ。

 新谷と同じく10000メートルですでに五輪切符を手にする廣中璃梨佳(JP日本郵政G)が、積極的に引っ張る形で展開した。レースが大きく動いたのは、3000メートル過ぎだ。廣中が抜け出すと、第1集団がばらけた。徐々に後退した新谷は、田中希実の後ろの4番手につけて踏ん張った。ラスト3周でギアを入れ替えると、田中と萩谷楓をかわしラスト900メートルで2番手に浮上。そのまま順位をキープし、五輪代表権を得た。

 レース後のオンライン会見で新谷は、直前まで「本当に棄権しようか迷ったぐらい追い込まれていた」と明かした。5月に行なわれた、五輪テストイベントの同種目で15分18秒21の5位に終わったことで、「結果を出さなきゃいけないアスリートとして、結果が出ていない今の状態は、五輪関係なく焦りがある」との想いがあったようで、気持ちを上手くコントロールできなかったという。
 
 そんな新谷が頼りにするのが、二人三脚で歩む横田真人コーチだ。この日も棄権するか相談をすると、「すかさず『棄権していいよ』と言ってくれた」と新谷に寄り添ってくれた。これで新谷はかえって気持ちが楽になったようで、「ここで逃げたら五輪なんて、もっと凄い怖いだろうし、ここで我慢して耐えるんだ」と出場を決意した。

 横田コーチの存在について記者に問われると、以下のように"新谷節"を披露した。

「泣いちゃうぐらい頼っちゃうので、変な言い方、親同然って感じ。たとえ話ですけど、時速300キロぐらいでぶつかっても壊れない人なので、思い切ってぶつかることが出来ます」

 全幅の信頼を寄せる横田コーチと臨む大舞台では、納得のいくレースでの"嬉し涙"に期待したい。2種目に内定する新谷は、7月30日に5000メートル予選、8月2日に決勝を戦う。そして10000メートルは8月7日に行なわれる。

構成●THE DIGEST編集部

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