バレーボール

女子バレー五輪代表12名を発表!中田久美監督は苦渋の決断に涙「この5年間、いろんなことがありすぎた」

北野正樹

2021.07.01

中田監督は経験の少ない籾井について、「勝たせられるセッター」と語った。(C)Getty Images

 日本バレーボール協会は6月30日、東京五輪を戦う女子代表チーム・火の鳥NIPPONの出場内定選手12人を発表した。

 先日までイタリアで開催されていた「FIVBネーションズリーグ」に登録された17人のうち、主将の荒木絵里香(トヨタ車体)が4大会連続出場となり、副主将の古賀紗理那(NEC)、エース・黒後愛(東レ)のほか、セッターに20歳の籾井あきが初選出された。けがから復活しリオデジャネイロ以来の出場を目指していた長岡望悠(久光)ら5人が外れた。

 オンラインで会見に応じた中田久美監督は、「(監督就任後)この5年間、いろんなことがありすぎた。誰も予想できないコロナ禍で引退した選手も含め、五輪にかける思いを感じていたので複雑な気持ちになった」と、12人を発表する前に涙を浮かべた。

 選考ポイントとして中田監督は「心」(五輪のプレッシャーに負けないメンタルの強さと勝負強さ)、「技」(メダルを獲得するためにチーム戦術に合う卓越した技術)、「体」(8試合を戦い抜ける強い体)、「和」(世界一小さい日本が五輪の大舞台で屈強な世界のチームに勝つためのチームの団結力)の4つを挙げ、「伝説に残るチームを作るため、本気と覚悟を決めて戦いに臨む」と決意を語った。
 
 選ばれたのはアウトサイド5名、ミドルブロッカー4名、セッター2名、リベロ1名の12名。セッターの選考について、中田監督は「ゲームの流れをコントロールし、スパイカー陣の能力を引き出せるトスワークを重視した」と説明。経験の少ない籾井について、「勝たせられるセッター。イメージ通りのトスを上げてスパイカーが決められなかった時に、荒木らにも原因を聞きに行ける頼もしさがある。粗削りで波もあるが、五輪直前の緊張感のある中で何か思い切ったことをやらないと発展がないと思った」と抜擢の理由を語った。

 また、長岡については「(流れを変える)2枚替えを長岡で、と考えていたがコンディション的に上がらず厳しい状況が続いていた」と説明し、「黒後がエースとして活躍してくれることが一番。スイッチの入った時の黒後の打力や読み、スピードは外国の選手にひけを取らない」と、黒後の奮起に期待していた。

 女子の競技は7月25日から有明アリーナで開催。各6チームが2組に分かれ予選ラウンドを戦い、各組上位4チームが決勝トーナメントに進む。予選ラウンドで日本は、ケニア、セルビア、ブラジル、韓国、ドミニカ共和国と同組となる。

文●北野正樹(フリーライター)
【プロフィール】きたの・まさき/1955年生まれ。2020年11月まで一般紙でプロ野球や高校野球、バレーボールなどを担当。南海が球団譲渡を決断する「譲渡3条件」や柳田将洋のサントリー復帰などを先行報道した。