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バレーボール

日本女子バレーが抱えるセッター問題。中田イズムを体現して“伝説”の司令塔となるのは?

THE DIGEST編集部

2021.06.15

正セッター候補の籾井。初代表ながら堂々としたプレーを見せている。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

正セッター候補の籾井。初代表ながら堂々としたプレーを見せている。写真:金子拓弥(THE DIGEST写真部)

 バレーボールネーションズリーグ女子大会は15試合中12試合を終えようとしている(6月14日現在)。現在16チーム中5位につけ、上位4チームで争うファイナルラウンドに日本が進出できるか否かも気になるところではあるが、最大の焦点は、この大会後に発表される東京五輪出場12名がどうなるか、ではないだろうか。

 中でも注目はセッター。コンビバレーを柱とする女子バレー日本代表にとって、司令塔でもあるセッターは最重要ポイントである。さらに中田久美監督がセッター出身であることも重なり、誰がチームの司令塔となるのか。監督就任時の2017年から高い関心が寄せられてきた。

 しかし実際はというと、なかなか人選が固まっていない。17年のワールドグランドチャンピオンズカップで正セッターを務めたのは冨永こよみ。高身長で攻撃型の冨永に期待も高まったが、翌年の世界選手権ではリオデジャネイロ五輪にも出場した田代佳奈美が正セッターを務め、その翌年の19年に行なわれたワールドカップでは佐藤美弥が正セッターとして全試合に出場した。

 よりフィットするスタイルを追求すべく、多くのセッターにチャンスを与えたと考えれば前向きだが、また違う見方をすれば攻撃の柱となるセッターが毎年変わっていいのか、と不安を抱く人も少なくはないはずだ。実際、冨永は今年第一子を出産、現役選手は続けるが今年度の日本代表登録選手には入っておらず、正セッターの大本命と目された佐藤も今年5月に相次ぐケガで引退を発表した。

 東京五輪までのカウントダウンが始まる中、誰が正セッターとなるのか。不安の声も消えない中、一気にその座へ躍り出たのが今季初めて日本代表に選出された20歳のセッター、籾井あきだ。
 
 八王子実践高2年時にセッターへ転向し、19年にJTマーヴェラスへ入団。直後からスタメンセッターとして起用され、19/20シーズンにVリーグを制覇。続く20/21シーズンも正セッターとして試合出場を重ねただけでなく、ルーキーイヤーよりも落ち着いたゲームメイクを見せる活躍でチーム初の連覇を成し遂げた。

 これまでも日本代表に呼ばれてもいいのではないか、という声もあったが、ペルーとスペイン人の両親を持つ父、ペルーと日本人の両親を持つ母と共にペルー国籍だったため、日本代表候補の対象にならなかった。19年に日本国籍を取得したため、アンダーカテゴリーも含め、今回が初の代表選出となった。

 176cmという高さと、レフト一辺倒ではなくミドル、ライト、バックアタックも絡めた多彩な攻撃展開を武器とする籾井は、中田監督からも「落ち着いたゲームメイクができている」と信頼を寄せられ、1年6か月ぶりとなる有明アリーナでの中国との親善試合にも出場。ネーションズリーグでも12試合中10試合でスタメン出場し、国際バレーボール連盟のホームページでも籾井に着目した記事が掲載されるなど、成長も活躍も著しい。
 
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