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「1回は許されるものの…」角田裕毅の評価は“最高“の予選と“破綻“した決勝で二分。「堅実な週末」との声も

THE DIGEST編集部

2021.07.06

ピット入口の白線を越えるミスを繰り返した角田。予選での結果が良かっただけに悔やみきれないレースとなった。(C)Getty Images

 スクーデリア・アルファタウリの角田裕毅は、F1第9戦オーストリア・グランプリの決勝で12位に終わった。

 自己最高タイの7番手からスタートしたものの、戦略的に不利を強いられた上に履き替えたハードタイヤではペースを上げられずに順位を下げ、さらに2度もピット入口の白線を越えたことで計10秒のペナルティーを受ける羽目となるなど、角田にとってはフラストレーションの溜まる71周だった。

 予選までの各セッションでは好調を維持したのとは打って変わり、決勝では次々にネガティブな事象に見舞われることとなったという好対照ぶりにより、各国の専門メディアの評価も分かれることになった。

『THE RACE』は10点満点中の「4.0」という低採点。予選については「今季最高のセッションとなり、前回のレースよりもタイムは改善された。Q3のラストアタックでは最終セクターで少しタイムを失い、トウも得られなかったが、チームメイトのピエール・ガスリーから0.166秒差と、自身の能力を発揮した」とポジティブに振り返るも、決勝の寸評は以下の通り厳しかった。

「決勝でも第1スティントは良かったものの、最初のタイヤ交換の後はトラフィックを効率良く抜け出せなかったことでガスリーに置き去りにされ、さらに2度もピット前の白線を越えて計10秒のペナルティーを食らい、最終的にチームメイトとの差は30秒も開いた。雑さが彼を後方に追いやった」
 
「5」をつけたのは『CRASH』で、寸評では「ガスリーのすぐ後ろにつけた予選は好調だったが、ソフトタイヤでのスタートで不利な2ストップ戦略を強いられることとなった。そして2度のペナルティーを受けた後、彼のレースは破綻した。チームメイトのかなり後ろでフィニッシュし、ルーキーにとっては失望に満ちたレースとなった」と綴っている。

『Planetf1』も同じく「5」で、「これほど力強いスタートを切りながら、レースで何ら印象を残せなかったドライバーは、角田以外にいない。予選は7位と順調だったものの、そこからは下り坂となり、さらに2度のペナルティ。1回は許されるものの、2回はたとえルーキーといえども杜撰すぎる。決して最悪の週末ではなかったが、ヘルムート・マルコ(レッドブル・グループ顧問)を感動させるどころか、多くの改善すべき点を露呈した」と、やはり予選までと決勝の対称さを強調した。

 一方、『F1i.com』は「決勝はうまくいかなかったものの、角田にとってはほとんどの部分で堅実な週末だった。初日のフリー走行は2回ともトップ6に入り、予選では7位という自己最高のグリッドを手に入れた。決勝では残念ながら、ソフトタイヤをチョイスしたことで、彼のそれまでの良い仕事は無に帰した。アントニオ・ジョビナッツィとニコラス・ラティフィの後ろで立ち往生し、2度目のピットストップでポイント圏から脱落して、もはや回復する術はなかった」と記し、採点でも「6.5」という及第点以上の評価を与えた。

 F1キャリアにおいて、最高の面と最低の面を同時に披露したとも言えるオーストリアGPの角田。2週間後の英国GPに向けて「同じミスは繰り返さない」と誓ったルーキーが、この先、"学習"の成果を示せるかに注目したい。

構成●THE DIGEST編集部

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