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「東京でもっとも勇敢な戦士」顔面に31本のボルトを埋め込まれた英ホッケー名手が、奇跡の復活を遂げるまで【東京五輪】

THE DIGEST編集部

2021.07.22

ホッケー英国代表を牽引するウォード。奇跡の復活劇を東京五輪の檜舞台で昇華させる。写真:AFPアフロ

ホッケー英国代表を牽引するウォード。奇跡の復活劇を東京五輪の檜舞台で昇華させる。写真:AFPアフロ

 英国ホッケー界が誇る不屈の男が、いよいよ東京五輪で躍動のときを迎える。現在30歳の名FW、サム・ウォードだ。
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 悲劇的なアクシデントに見舞われたのは2019年11月、マレーシアで開催された東京五輪予選のゲーム中だった。味方が放った時速80キロのショットが顔面を直撃し、意識を失って緊急搬送されたのだ。左目の網膜を著しく損傷し、その周辺には再生手術を施すために4枚のプレートと31本のボルトが埋め込まれた。

 根っからのポジティブマインドを持つウォードは、手術後まもない自身の姿を公式インスタグラムに投稿。あまりにも痛々しい画像は英国内の主要メディアで軒並み取り上げられ、大きな反響を呼んだ。「まったくおぞましいよ。彼らは僕の耳から耳までをぶった切って、ほとんど顔を取り出してしまったんだからね」と呟いた。

 ウォードはその後、わずか4か月でプレーに復帰する。だが左目の視力は一向に戻らず、さまざまな担当医たちとトライを繰り返したが、改善は図れなかった。英紙『The Sun』で当時の心境を振り返ったウォードは「僕の考えが間違っていたのかもしれないけど、とにかく必死だったな。代表チームに戻りたい、また国際舞台で戦いたいって想いでいっぱいだったからね」と語る。

 ほぼ片目だけでのプレーを強いられ、フェイスガードを装着して新たな感覚が磨き続けた。「奥行きがどれほどなのかとか、最初は本当に苦労したけど、もうすっかりセカンド・ネイチャー(第2の天性)だよ。違和感なくプレーできるようになったし、フェイスガードも付けていることを忘れるくらい馴染んでしまったしね」と語り、笑みを浮かべる。
 
 そして、選手生命の危機に立たされた大怪我から20か月、ついにウォードは代表チームに復帰する。ギリギリで東京五輪を戦う、栄えある18名に選出されたのだ。

「プレースタイルは変わらないよ。頭から突っ込んで可能なかぎり身体を張る。すべては(代表)チームの勝利のためにね」

『The Sun』紙は「フィールド外におけるウォードの忍耐と決意が、ついに報われる日が来た。彼はすでにオリンピックでタイトルを勝ち取っている。東京でもっとも勇敢な戦士、というタイトルをだ」とエールを贈っている。

 ウォードと英国代表のグループリーグ初戦は、7月24日の南アフリカ戦だ。残念ながら無観客開催が確定しているが、フェイスガードを付けたタフガイの雄姿に注目したい。

構成●THE DIGEST編集部

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