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「私を助けて!」コーチ批判のベラルーシ陸上選手が帰国命令を拒否して警察に駆け込む。本人は亡命を希望【東京五輪】

THE DIGEST編集部

2021.08.02

空港で事情を説明するツィマノウスカヤ。ベラルーシ国内では一大騒動に発展している。(C)REUTERS/AFLO

 まさかの緊急事態に、羽田空港は一時騒然とした。

 日本の空港警察に助けを求めたのは、東京五輪にエントリーしているベラルーシの陸上代表選手、クリスツィーナ・ツィマノウスカヤだ。同国選手団の責任者に緊急帰国を命じられて羽田空港にまで来たが、帰国後の身の危険を感じて、経由地であるイスタンブール行きの飛行機への搭乗を拒否。日本在住ベラルーシ人の協力を得て、当局に保護されたという。
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 ツィマノウスカヤがBSSF(政府の介入からアスリートの権利を守るベラルーシのボランティア団体)に投稿したビデオによると、事の発端は陸上チームのコーチ陣の不手際だったという。24歳のツィマノウスカヤは月曜日に予選が行なわれる女子200メートルに出場予定だったが、急きょ金曜日に始まる女子4×400メートルリレーへの鞍替えを命じられる。リレーメンバーの数人が出場に必要なドーピング検査を受けていなかったことが判明し、その欠員を埋めるため、強引に種目を変更させられたという。

 猛反発したツィマノウスカヤは自身のインスタグラムでそのコーチ陣を批判。本国のテレビ局『ONT』がこの投稿を取り上げ、「彼女にはチームスピリットが欠けている」と断罪されてしまう。

 すぐさまコーチ陣ほか関係者がツィマノウスカヤの部屋に押し寄せ、「いますぐ荷物をまとめて国に帰れ!」と強要。ツィマノウスカヤは「私の同意もなく無理やり決められた。だからIOC(国際オリンピック連盟)に介入を求めたの」と話す。一方でベラルーシ選手団は「ツィマノウスカヤは精神面での問題を抱えているため、競技には出場せず、すでにチームを離れた」と説明している。
 
 ツィマノウスカヤと懇意なジャーナリストのハンナ・リュバコワ氏はツイッターで「ベラルーシ代表チームの上層部が、彼女を強引に空港へ連れていったのは間違いない。あれは誘拐に近い行為だった」と告発。英公共放送『BBC』は「現在ツィマノウスカヤは日本の警察の保護下に置かれ、オーストリアへの亡命を希望している」と伝えた。

 はたして事態はどんな展開を見せるのか。ベラルーシ国内の政情不安など、根深い問題が混在しているようだ。

構成●THE DIGEST編集部

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