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「彼らの親切さや働きはメダルに値する」英国人記者が賛辞を贈る“素晴らしき日本人たち”。東京はオリンピックをよくやり遂げた【東京五輪】

スティーブ・マッケンジー

2021.08.09

試合各会場でサポートに徹したボランティア。そのひたむきな姿をスティーブ記者が称えた。(C)Getty Images

試合各会場でサポートに徹したボランティア。そのひたむきな姿をスティーブ記者が称えた。(C)Getty Images

 イギリスにいる私にとって、8月8日に無事に大会を終えた東京オリンピックは、素晴らしい記憶となった。

 過酷なコロナ禍にあって、国際的なスポーツの祭典を開催するというのは、多くの日本人、そして何よりも東京に住む人々にとって、容易ではなかったはずだ。大会期間中にも感染者数が増大していくなかで、彼らが多くの健康問題や経済的な問題に対処しなければならなかったのは、想像に難くない。

 ただ、「多様性と調和」が掲げられた今オリンピックにおいて、インドやコソボといった国々の選手たちが、メダルを手にする活躍を披露したのは、多様性の象徴のようにも感じられた。また、イギリスのトム・デイリー(男子飛び込み)のように同性愛者であると告白した選手が堂々と出場できた点も、私には、過去の五輪よりも意義深いものになったように思えた。

 イギリスの成果はというと、2012年のロンドンオリンピックと同数のメダル(65個)を獲得した。このメダル数は、事前に英国スポーツ連盟が設定していた目標数(45~70)に達しているため、大成功だと言えるだろう。

 また、イギリスは水泳や陸上など、他の国よりも多い25の異なるスポーツでメダルを獲得した。これは各国同様だと思うが、オリンピックに参加する多くのアスリートがプロではない。ゆえにこの東京で掴んだ成果は、国内のスポーツ界が、政府から資金援助を受けるためにも重要なものとなった。

 さて、ふたたび日本に目を向けたい。私がクローズアップしたいのは、何も選手たちだけではない。大会を下支えしたボランティアにも賛辞を送るべきではないだろうか。
 
 私がいるのは、東京から何マイルも離れた場所だが、東京オリンピックにおけるボランティアがいかに素晴らしい仕事をしているかは、メディアや記者仲間からよく聞かされている。そして、東京にいる彼らは私に「ボランティアの丁寧さや親切さは、どの大会よりもずば抜けている。彼らは東京オリンピックのスターと呼ぶべき日本人だった」と熱弁を振るってくれるのだ。

 もちろん、史上最多となる58個のメダルを手にした日本の選手たちの努力を足蹴にするつもりはない。1年の延期という調整力が問われたなかで、ベストパフォーマンスを披露した彼らも素晴らしい。だが、大会をフィールド内外で円滑に進めたボランティアやスタッフの懸命な働きも、メダルに値するのではないだろうか。

 大会前の様々なスキャンダルは、きちんと精査すべきであり、問題を処理する必要はある。だが、パンデミックという異例の状況下で行なわれたことを考えれば、東京オリンピックは決して失敗ではなかったと私は思う。

 素晴らしきオリンピックを東京はよくやり遂げた。

文●スティーブ・マッケンジー

Steve MACKENZIEスティーブ・マッケンジー/1968年6月7日、ロンドン生まれ。ウェストハムとサウサンプトンのユースでプレー経験がある。とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からのサポーターだ。スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝した。現在はエディターとして幅広く活動。05年には『サッカーダイジェスト』の英語版を英国で手掛け出版した。

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