ラグビーの母国にとっても、驚くべき光景だったようだ。
10月26日に行なわれたラグビーワルドカップの準決勝の試合前、6万8843人が見守るなか、ニュージーランド代表は住民族マオリの伝統的な舞踊「ハカ」を披露。準々決勝のアイルランド戦に続き2試合連続の「カパオパンゴ」で、対戦相手にプレッシャーを与えようとしていた。
これまで「ハカ」に対峙するチームは、横一列で肩を組んで見守るというのが恒例だ。しかしこの準決勝という舞台で、エディー・ジョーンズ率いる英国チームはその”恒例”を打ち破った。
彼らは上着を着たまま、「カパオバンゴ」の形に合わせたかのようなV字陣形を作って対峙。今までにないその様子に、スタジアムにはどよめきが走った。一部の選手は、審判からセンターラインを越えないように指示されたが動じなかった。なかでも主将のオーレン・ファレルは口元に笑みをたたえるほどの余裕さえ見せた。
この様子を英公共放送『BBC』は「驚くべき”奇襲”だった」と評した。試合後に取材に応じたファレルは、「ただそこに立っているだけではダメだと思っていた」と語っている。
「彼らの儀式を、ただ一列に並んで見守るようなことはしたくなかった。センターラインを越えてはいけないことは分かっていたし、敬意を払って距離を保たなければならなかったけれど、ただただ、彼らが気合で迫って来るのを受け入れるようなことだけはしたくなかった。僕らも相手に脅威を与えたかったんだ」
その後にキックオフされた試合でも、イングランド代表の”奇襲”が光った。ファレルを起点としたプレーで開始わずか1分36秒に、マヌ・トイラギがトライに成功。その後も前大会王者に主導権を渡すことなく19-7で勝利を収め、07年大会以来3大会ぶりの決勝進出を手にしている。
この”奇襲”について、先制トライを決めたトイラギは「エディーが考えていたものと少し違ったとは思うが、我々は準決勝で互角に戦う準備ができていることを示したかった」とコメント。指揮官の発案によるものと認めている。
当のエディーヘッドコーチは試合後の記者会見で「(V字陣形は)あなたのアイデアだと聞いたが事実か?」と記者に問われると、「あなたがそう言うということは、誰かがそう言ったのだろう? ならば私が語ることは無いよ」と明言を避けた。
ちなみに、敗退が決まったオールブラックスの主将キーラン・リードは、この“奇襲”は「試合に影響はなかった」と否定。だが、アーロン・スミスは、ハカを見守るファレルとは静かに火花が散っていたと語り、「ちょうど対角線上にいたのがファレルだったので、儀式の間、ずっと彼を見ていた。彼は何回かウインクをくれたので、できる限り怖がらせようとしたよ」と振り返っている。
このイングランド代表がとった奇襲プランに対して、海外では賛否が渦巻いている。だが、絶対王者の心を揺さぶった奇襲と完璧な試合プランでオールブラックスを撃破したのは事実だ。
エディーHCに率いられたイングランド代表は、11月2日に行なわれる決勝戦に臨む。この大一番でも、鮮烈なプレーを見せてくれることだろう。
構成●THE DIGEST編集部
10月26日に行なわれたラグビーワルドカップの準決勝の試合前、6万8843人が見守るなか、ニュージーランド代表は住民族マオリの伝統的な舞踊「ハカ」を披露。準々決勝のアイルランド戦に続き2試合連続の「カパオパンゴ」で、対戦相手にプレッシャーを与えようとしていた。
これまで「ハカ」に対峙するチームは、横一列で肩を組んで見守るというのが恒例だ。しかしこの準決勝という舞台で、エディー・ジョーンズ率いる英国チームはその”恒例”を打ち破った。
彼らは上着を着たまま、「カパオバンゴ」の形に合わせたかのようなV字陣形を作って対峙。今までにないその様子に、スタジアムにはどよめきが走った。一部の選手は、審判からセンターラインを越えないように指示されたが動じなかった。なかでも主将のオーレン・ファレルは口元に笑みをたたえるほどの余裕さえ見せた。
この様子を英公共放送『BBC』は「驚くべき”奇襲”だった」と評した。試合後に取材に応じたファレルは、「ただそこに立っているだけではダメだと思っていた」と語っている。
「彼らの儀式を、ただ一列に並んで見守るようなことはしたくなかった。センターラインを越えてはいけないことは分かっていたし、敬意を払って距離を保たなければならなかったけれど、ただただ、彼らが気合で迫って来るのを受け入れるようなことだけはしたくなかった。僕らも相手に脅威を与えたかったんだ」
その後にキックオフされた試合でも、イングランド代表の”奇襲”が光った。ファレルを起点としたプレーで開始わずか1分36秒に、マヌ・トイラギがトライに成功。その後も前大会王者に主導権を渡すことなく19-7で勝利を収め、07年大会以来3大会ぶりの決勝進出を手にしている。
この”奇襲”について、先制トライを決めたトイラギは「エディーが考えていたものと少し違ったとは思うが、我々は準決勝で互角に戦う準備ができていることを示したかった」とコメント。指揮官の発案によるものと認めている。
当のエディーヘッドコーチは試合後の記者会見で「(V字陣形は)あなたのアイデアだと聞いたが事実か?」と記者に問われると、「あなたがそう言うということは、誰かがそう言ったのだろう? ならば私が語ることは無いよ」と明言を避けた。
ちなみに、敗退が決まったオールブラックスの主将キーラン・リードは、この“奇襲”は「試合に影響はなかった」と否定。だが、アーロン・スミスは、ハカを見守るファレルとは静かに火花が散っていたと語り、「ちょうど対角線上にいたのがファレルだったので、儀式の間、ずっと彼を見ていた。彼は何回かウインクをくれたので、できる限り怖がらせようとしたよ」と振り返っている。
このイングランド代表がとった奇襲プランに対して、海外では賛否が渦巻いている。だが、絶対王者の心を揺さぶった奇襲と完璧な試合プランでオールブラックスを撃破したのは事実だ。
エディーHCに率いられたイングランド代表は、11月2日に行なわれる決勝戦に臨む。この大一番でも、鮮烈なプレーを見せてくれることだろう。
構成●THE DIGEST編集部