2月10日に北京五輪のフィギュアスケート競技の男子シングル、フリースケーティング(FS)が行なわれ、アメリカのネイサン・チェンが悲願の金メダルを奪取。日本勢では鍵山優真が銀メダル、宇野昌磨が銅メダルを手にし、五輪3連覇が期待された羽生結弦は4位となった。
チェンが実力を発揮した今大会を海外の識者はどう見ているのか。ロシア・メディア『Sport Express』の取材に応じたソルトレーク五輪の金メダリストであるアレクセイ・ヤグディン氏が、興味深い私見をとともに振り返っている。
まずヤグディン氏は、「ネイサン・チェンはSPのようには簡単には物事を進めることができず、あの舞台でラストに滑るというのはとても難しいことだと改めて感じた」と述べ、こう王者を称えた。
「ひとつひとつのジャンプを決めようとしっかりと戦い、勝利を引き寄せた。彼がプログラムの最初のほうで4回転フリップを2回おりたとき、35点を稼いだときは思わず笑いすら出たよ。続く3つのエレメンツで50点を超えていた。もうこれは“事件”だ。
数年前に彼が『次の五輪は自分が勝つ』と言ったことを嬉しく思っていた。今シーズン序盤はあまりうまくいっていなかったが、見ての通り。彼は宇宙人。ショウマ・ウノとユウマ・カギヤマは宇宙に近づいている。だが、チェンはすでに宇宙の冒険者だ」
【北京五輪PHOTO】笑顔とガッツポーズから、コミカルな姿まで。男子フリーを滑り切ったフィギュアスケーターのkiss&cryをお届け! 加えて、「チェンはぜひこのまま現役続行を。そしてカギヤマの成長が非常に楽しみ」と付け加えたヤグディン氏は、4位に終わった羽生については「彼の挑戦は歴史のためだったんだろう」とコメントした。
「私も同様に、歴史のためにジャンプにチャレンジしたことがある。大けがをする心配もあった。だが、競技の歴史に踏み入るためなんだ。自分個人のキャリアのためでもある。もし彼が定期的に4回転アクセルを着氷していたら、とは思った。
基礎点はわずか12・5点だし、自分のものにしていないのに挑むのは無謀でもある。彼はやろうと思えば好きなだけメダルを獲ることができる。ただ、今回は4位になる見込みすら薄かった。それでも彼はトップ3を目指していたんだ」
そして「五輪のメダルを2つも持っている人は、常に野心的な目標を掲げている印象がある。今日の滑りを見ても、美しくて芝居がかっている。ダンサーのように。現役を離れるのかもしれないけれど、離れて欲しくないね」と、日本が誇る天才スケーターにメッセージを送った。
なお、母国から参加した3人についても言及。新型コロナ陽性のために棄権したミハイル・コリャダにかわって参加したエフゲニー・セメネンコは8位、マルク・コンドラチュクは15位、アンドレイ・モザリョフが19位で終えているが、ヤグディン氏は「彼らは自分たちの仕事を全うした」と分析した。
「マルクはまず団体戦で全身全霊で尽くした。チームのために200%の力を出し切ったろう。セメネンコは自己ベストを更新した。モザリョフは…まあ良くはないけれど、ひどくもない。彼らは自分たちの仕事はしたと思う。世界選手権はおそらくコンドラチュク、セメネンコ、そしてコリャダの3人が向かうだろうと予想している」
普段から母国愛全開の”フィギュアの帝王”だが、今大会はアメリカ、そして日本の選手の奮闘も見守っていたようだ。
構成●THE DIGEST編集部
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チェンが実力を発揮した今大会を海外の識者はどう見ているのか。ロシア・メディア『Sport Express』の取材に応じたソルトレーク五輪の金メダリストであるアレクセイ・ヤグディン氏が、興味深い私見をとともに振り返っている。
まずヤグディン氏は、「ネイサン・チェンはSPのようには簡単には物事を進めることができず、あの舞台でラストに滑るというのはとても難しいことだと改めて感じた」と述べ、こう王者を称えた。
「ひとつひとつのジャンプを決めようとしっかりと戦い、勝利を引き寄せた。彼がプログラムの最初のほうで4回転フリップを2回おりたとき、35点を稼いだときは思わず笑いすら出たよ。続く3つのエレメンツで50点を超えていた。もうこれは“事件”だ。
数年前に彼が『次の五輪は自分が勝つ』と言ったことを嬉しく思っていた。今シーズン序盤はあまりうまくいっていなかったが、見ての通り。彼は宇宙人。ショウマ・ウノとユウマ・カギヤマは宇宙に近づいている。だが、チェンはすでに宇宙の冒険者だ」
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「私も同様に、歴史のためにジャンプにチャレンジしたことがある。大けがをする心配もあった。だが、競技の歴史に踏み入るためなんだ。自分個人のキャリアのためでもある。もし彼が定期的に4回転アクセルを着氷していたら、とは思った。
基礎点はわずか12・5点だし、自分のものにしていないのに挑むのは無謀でもある。彼はやろうと思えば好きなだけメダルを獲ることができる。ただ、今回は4位になる見込みすら薄かった。それでも彼はトップ3を目指していたんだ」
そして「五輪のメダルを2つも持っている人は、常に野心的な目標を掲げている印象がある。今日の滑りを見ても、美しくて芝居がかっている。ダンサーのように。現役を離れるのかもしれないけれど、離れて欲しくないね」と、日本が誇る天才スケーターにメッセージを送った。
なお、母国から参加した3人についても言及。新型コロナ陽性のために棄権したミハイル・コリャダにかわって参加したエフゲニー・セメネンコは8位、マルク・コンドラチュクは15位、アンドレイ・モザリョフが19位で終えているが、ヤグディン氏は「彼らは自分たちの仕事を全うした」と分析した。
「マルクはまず団体戦で全身全霊で尽くした。チームのために200%の力を出し切ったろう。セメネンコは自己ベストを更新した。モザリョフは…まあ良くはないけれど、ひどくもない。彼らは自分たちの仕事はしたと思う。世界選手権はおそらくコンドラチュク、セメネンコ、そしてコリャダの3人が向かうだろうと予想している」
普段から母国愛全開の”フィギュアの帝王”だが、今大会はアメリカ、そして日本の選手の奮闘も見守っていたようだ。
構成●THE DIGEST編集部
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