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なぜカーリングの「アイス」は難しくなっているのか。サード吉田知那美が分かりやすく解説してくれた【北京五輪】

THE DIGEST編集部

2022.02.14

絶大な存在感を示している吉田知。まさにロコ・ソラーレの“太陽”だ。(C)Getty Images

絶大な存在感を示している吉田知。まさにロコ・ソラーレの“太陽”だ。(C)Getty Images

 圧巻の3連勝で、1次リーグの暫定2位に躍り出たロコ・ソラーレ。北京五輪の女子カーリングは前回大会以上にスリリングな試合の連続で、ファンを存分に楽しませてくれている。

 土曜日にデンマークとROC(ロシア・オリンピック委員会)を連破した日本だが、いまだ悩みは尽きないようだ。アイスの状態が安定せず、選手たちは格闘を続けているという。ROC戦の試合後にリードの吉田夕梨花が「試合に勝ったというよりは、アイスに勝ったというか、いままでで一番難しかった」と振り返れば、姉でサードの吉田知那美は「掴みどころのないアイスでしたね。気合で押し切りました」と話し、ホッとした表情を浮かべた。

 セカンドの鈴木夕湖はショットが思うように決まらず、勝利が決まった直後には感極まって大粒の涙を流した。「とりあえずショットが決まらなくて……。本当に辛かったんですけど、みんなが助けてくれて、本当にみんなに感謝したいです」と声を振り絞る盟友に対して、スキップの藤澤五月は「ゆうみ(鈴木)のショット率がそんなに良くなかった。でもそれがあったからこそ、ちな(吉田知)だったり私だったりのショットが繋がって決め切れた」とフォロー。あらためて厚い信頼関係と団結力を内外に示した。

 そんななか、休養日となった翌日に吉田知が公式インスタグラムを更新し、「ストーリー」上でより詳細な解説とROC戦評をファンに伝えた。「不調だったのは夕湖じゃなくてアイスコンディションとストーン状況だった昨晩」と書き出して、次のように続けた。

 
「過去のオリンピックではあり得ないほどの天井の高さ、室温の高さ、そして極度の乾燥による湿度の低さ。世界最高峰のアイスメーカーさんたちも力を合わせて必死に良いコンディションを保つよう尽力してくれています」

 さらに、鈴木のパフォーマンスについても独自の見解を示した。「ゆうみのポジションはゲームを作る、“セットアップ”と呼ばれる戦略の要をつくる役割で、アイスが不安定な状況の時に投げなければいけないポジション」とその難しさを明かし、「いつもなら完璧に近い予測をコミュニケーションで打ち出して投げれたのですが、昨日のアイスは、わたしたちがどんなに歩み寄ろうとしても、みんなの記憶のデータを集結させ、最も可能性の高いデータを使って投げても、刻一刻とアイスが変化していき、結果、ゆうみの投げなければいけないショットがギャンブルのようになってしまいました」と、絶妙な言い回しで説明した。
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