五輪最終日とあって、日本が激突したカーリング女子決勝は、イギリスでも小さくない話題となった。ましてや、平昌五輪の3位決定戦で敗れていた相手に10-3という会心の勝利を挙げての金メダルだ。当然ではある。
【北京五輪PHOTO】表彰式では笑顔も!銀メダルを獲得したカーリング女子日本代表「ロコ・ソラーレ」
もっとも、イギリス国内におけるカーリングの認知度は決して高くない。フットボールやクリケットなどとは異なり、冬季オリンピックのタイミングぐらいしか大きな露出がなく、「4年に一度しか見ない」という人も少なくない。なかには、ダーツやスヌーカーなどのようにスポーツとして捉えていない人もいる。
しかしながら、今大会は男子チームも決勝まで順調に勝ち進んだこともあり、カーリングの注目度は、1次リーグの後半から国内でも高まっていった。女子チームには英国王室から決勝戦での健闘を祈る応援メッセージが寄せられたぐらいだ(おそらく女王陛下は早朝から決戦は見ていないだろうが……)。
試合内容も国内での期待にたがわぬものとなった。第7エンドには、イギリスのスキップであるイブ・ミアヘッドが4点を手繰り寄せる絶妙なショットを披露。ここが勝負の分かれ目となったと言える。日本のメンバーは、この時点で「逆転は難しい」と悟ったのではないだろうか。それぐらいに効果のある一発だった。
では、イギリスだけが絶賛されているかというと、決してそうではない。日本に対する評価も負けていない。
とりわけ、試合後に、敗戦のショックを抱えているはずの彼女たちが、相手をきっちりと称えた姿は、大きな反響を呼んでいる。試合を中継した英公共放送『BBC』の解説は、「日本の選手たちは、どんな時も笑顔で会話を交わし、相手をリスペクトする。その姿はとても魅力的だった」と説いていたぐらいだ。
フィギュアスケートのカミラ・ワリエワ(ロシアオリンピック委員会)に代表されるように、今大会は重荷を背負って楽しめない選手を多く目にした。だからこそ、心底、楽し気にプレーする日本チームは、イギリス人にとって新鮮に映った。
ここで告白するが、私自身、そこまでカーリングに対する造詣が深いわけではない。しかし、「氷上のチェス」と言われる理由が今大会でよく理解できた。頭と心と身体を使うこの競技は、実に興味深い。それだけにもう少しだけ試合時間を短くするなどのフォーマット改善ができれば、今以上に人気なスポーツに変わっていくのではないだろうかとも思う。
何はともあれ、リベンジを果たしたイギリスに乾杯。そして、最後の最後まで気高く振舞った日本の選手たちにも賛辞を贈りたい。
文●スティーブ・マッケンジー
【関連記事】「オリンピック精神が感じられる」ロコ・ソラーレの敗戦後の「信じられない」姿を海外メディアが称賛!
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もっとも、イギリス国内におけるカーリングの認知度は決して高くない。フットボールやクリケットなどとは異なり、冬季オリンピックのタイミングぐらいしか大きな露出がなく、「4年に一度しか見ない」という人も少なくない。なかには、ダーツやスヌーカーなどのようにスポーツとして捉えていない人もいる。
しかしながら、今大会は男子チームも決勝まで順調に勝ち進んだこともあり、カーリングの注目度は、1次リーグの後半から国内でも高まっていった。女子チームには英国王室から決勝戦での健闘を祈る応援メッセージが寄せられたぐらいだ(おそらく女王陛下は早朝から決戦は見ていないだろうが……)。
試合内容も国内での期待にたがわぬものとなった。第7エンドには、イギリスのスキップであるイブ・ミアヘッドが4点を手繰り寄せる絶妙なショットを披露。ここが勝負の分かれ目となったと言える。日本のメンバーは、この時点で「逆転は難しい」と悟ったのではないだろうか。それぐらいに効果のある一発だった。
では、イギリスだけが絶賛されているかというと、決してそうではない。日本に対する評価も負けていない。
とりわけ、試合後に、敗戦のショックを抱えているはずの彼女たちが、相手をきっちりと称えた姿は、大きな反響を呼んでいる。試合を中継した英公共放送『BBC』の解説は、「日本の選手たちは、どんな時も笑顔で会話を交わし、相手をリスペクトする。その姿はとても魅力的だった」と説いていたぐらいだ。
フィギュアスケートのカミラ・ワリエワ(ロシアオリンピック委員会)に代表されるように、今大会は重荷を背負って楽しめない選手を多く目にした。だからこそ、心底、楽し気にプレーする日本チームは、イギリス人にとって新鮮に映った。
ここで告白するが、私自身、そこまでカーリングに対する造詣が深いわけではない。しかし、「氷上のチェス」と言われる理由が今大会でよく理解できた。頭と心と身体を使うこの競技は、実に興味深い。それだけにもう少しだけ試合時間を短くするなどのフォーマット改善ができれば、今以上に人気なスポーツに変わっていくのではないだろうかとも思う。
何はともあれ、リベンジを果たしたイギリスに乾杯。そして、最後の最後まで気高く振舞った日本の選手たちにも賛辞を贈りたい。
文●スティーブ・マッケンジー
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