現地時間４月９日、ロシアの「オリンピアン支援基金」がひとつの声明を発表。北京五輪メダリストに贈呈されるはずだった高級外車を諦め、今回は現金を"ご褒美"として提供すると明かした。
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　ロシアではすっかり恒例となっている、メダリストたちへの高級外車プレゼント。昨夏の東京五輪ではドイツの『BMW』と提携して、金メダリストに「X5」が、銀メダリストと銅メダリストには「X3」が贈られた。前者は約1000万円で、後者が約700万円程度だが、選手にとっては金額うんぬんだけでなく、その活躍によって高級車をゲットすること自体がひとつのステータスとなっていた。

　スポーツメディア『Sport24』は、「こうなったのは西側の経済制裁のせいだ。外国車の国内価格は高騰する一方で、支援基金は必要な台数を確保できるだけの資金を持ち合わせておらず、キャッシュでの支給に切り替えた」と説明。同基金は「キャッシュの額面は、ロシア政府が定める報奨金と同程度になるだろう。今回の件に関して、我々は外国のカーメーカーといっさい交渉をしていない」と強調している。

　ロシア政府が用意した北京五輪メダリストへの報奨金は、金メダリストが400万ルーブル（約625万円）、銀メダリストが250万ルーブル（約390万円）、そして銅メダリストが170万ルーブル（約265万円）と公表されている。東京五輪の高級外車と比べると、さすがにグレードダウンの感が否めないか。

　どうやら選手たちからは不満の声が上がっているようだ。その情報を受けて、2006年トリノ五輪・女子スピードスケート500メートルを制し、現在はロシア連邦議会の下院議員を務めるスベトラーナ・ジュロワ氏が『Sport24』にコメントを寄せた。50歳の重鎮は「選手たちの気持ちは分かるけど、こればかりはどうしようもないわね」と話し、次のように論じている。

「支援基金は政府の機関ではなく、あくまでスポンサーが集まって準備してきたもの。ある程度の幅はあったはずだけど、それを大きく上回るほど、外国産の車の値段が跳ね上がっているのよ。明らかに不当な状況ではあるけれども、選手たちは文句を言ってはいけない。私たちが、ああした車をもらうようになった最初の世代ね。当時は本当に嬉しかったけど、いまは時代も変わっているでしょ。これを機会に切り替えてもいいんじゃないかしら」
 
　さらに、ロシア・フィギュアスケート界の名伯楽として有名なタチアナ・タラソワ氏も言及した。「そんなに気にする選手がいるの？　もらえるだけありがたいことでしょ」とバッサリ。そのうえで、「マンションを贈るのは良いアイデアかもしれないわね。でも車よりもっと高くなるかしら」と私見を述べている。

　いずれにせよ西側諸国による徹底した経済制裁は、こうしたところにもはっきりと影響を及ぼしているということだ。

構成●THE DIGEST編集部

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