取材したロシア国内のメディアでさえ驚く、露骨な演出だったようだ。
現地時間4月9日、ロシアのトゥーラで開催されたのが、五輪フィギュアスケートで過去2度の金メダルに輝くエフゲニー・プルシェンコ氏がホストを務めるアイスショー「The Union of Champions」だ。国内屈指の一流スケーターを集めた一大イベントだったが、ロシア・メディア『Sport Express』によると、かなり政治色が強いアプローチだったという。
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同メディアは「実にミステリアスだった。地元メディアの報道ではチケットが一般販売されず、クローズドなイベントに近く、会場の外では“我々の心のロシア”と書かれた旗が無数にたなびいていた。招待チケットにはZマークが刻印され、愛国心を煽る演出となっていた」と伝える。アルファベットの「Z」はいまや、ロシア軍のウクライナ侵攻を象徴するシンボルマークだ。
こうした仕掛けに、出場選手たちは困惑。ペアのアレクサンドラ・ボイコワは「事前に何も知らされていなかった」と不信感を募らせ、元世界女王のエリザベータ・トゥクタミシェワは自身のSNSで「スポーツと政治は切り離されるべきなのに、今日はそうならなかった。混乱しています」と正直な想いを吐露した。
何人かのスケーターたちは現地入りしていたロシア・フィギュアスケート連盟のアレクサンドル・コーガンCEOに詰め寄り、「こんな状況で出場していいのか?」と問いかけたという。一方で、こうした演出がプルシェンコ氏の発案であったかどうかは判然としない。『Sport Express』は「プルシェンコ夫妻も知らされておらず、驚かされたようだ」と報じており、イベント後に取材に応じた妻ヤナ・ルドコフスカヤ氏の慌てぶりを紹介している。
ファッション業界で辣腕を振るう47歳は、「スポーツと政治は切り離すべきであり、今回のショーでは(国際大会出場禁止などの)制裁に苦しむ選手たちを励ます意味合いも強い。選手たちのパフォーマンスはまさに魂の叫びのようだった」と絶賛。そして最後に記者から、チケットにZマークが刻印されていた事実を明かされると、首を横に振り、「私たちはまったく関与していませんよ。チケットは見ていないし、私たちはショーのためにここに来ただけです。あなたの言っている意味が分からないわ」とコメントした。
ならばと、ロシアのスポーツ専門局『Match TV』が主催者側を直撃する。開催地トゥーラでスポーツ大臣を務めるドミトリ・ヤコブレフ氏だ。なぜ政治色が強くなったのかという質問に対して、同氏は「そんな要素などいっさいなかったと考えているし、素晴らしいショーだった」と強調しながらも、「何人かの選手たちが心配している様子だったのは確かだ。それでも、ちゃんと話をして互いを理解し合い、最終的には楽しく滑ってくれた」と、どこか歯切れが悪い。氏はさらに「オリンピックの理念である『スポーツと政治の分離』を実践しているのは、もはやロシアだけだ。他の国々は忘れてしまっている」と言い放った。
トゥーラ州政府が独断で試みた演出だったのか。それともプルシェンコ夫妻も一枚噛んでいたのか。真相は闇の中だ。ルドコフスカヤ氏は、「私たちのショーはこれから、ロシア全国15会場を回ります。素敵なサプライズがたくさんあるので期待してください。次は4月16日、1万2000人収容のサンクトペテルブルクでお会いしましょう!」と呼びかけた。だが次回以降、結果的に政治利用されたスケーターたちが参加を辞退する可能性は否定できない。
構成●THE DIGEST編集部
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現地時間4月9日、ロシアのトゥーラで開催されたのが、五輪フィギュアスケートで過去2度の金メダルに輝くエフゲニー・プルシェンコ氏がホストを務めるアイスショー「The Union of Champions」だ。国内屈指の一流スケーターを集めた一大イベントだったが、ロシア・メディア『Sport Express』によると、かなり政治色が強いアプローチだったという。
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同メディアは「実にミステリアスだった。地元メディアの報道ではチケットが一般販売されず、クローズドなイベントに近く、会場の外では“我々の心のロシア”と書かれた旗が無数にたなびいていた。招待チケットにはZマークが刻印され、愛国心を煽る演出となっていた」と伝える。アルファベットの「Z」はいまや、ロシア軍のウクライナ侵攻を象徴するシンボルマークだ。
こうした仕掛けに、出場選手たちは困惑。ペアのアレクサンドラ・ボイコワは「事前に何も知らされていなかった」と不信感を募らせ、元世界女王のエリザベータ・トゥクタミシェワは自身のSNSで「スポーツと政治は切り離されるべきなのに、今日はそうならなかった。混乱しています」と正直な想いを吐露した。
何人かのスケーターたちは現地入りしていたロシア・フィギュアスケート連盟のアレクサンドル・コーガンCEOに詰め寄り、「こんな状況で出場していいのか?」と問いかけたという。一方で、こうした演出がプルシェンコ氏の発案であったかどうかは判然としない。『Sport Express』は「プルシェンコ夫妻も知らされておらず、驚かされたようだ」と報じており、イベント後に取材に応じた妻ヤナ・ルドコフスカヤ氏の慌てぶりを紹介している。
ファッション業界で辣腕を振るう47歳は、「スポーツと政治は切り離すべきであり、今回のショーでは(国際大会出場禁止などの)制裁に苦しむ選手たちを励ます意味合いも強い。選手たちのパフォーマンスはまさに魂の叫びのようだった」と絶賛。そして最後に記者から、チケットにZマークが刻印されていた事実を明かされると、首を横に振り、「私たちはまったく関与していませんよ。チケットは見ていないし、私たちはショーのためにここに来ただけです。あなたの言っている意味が分からないわ」とコメントした。
ならばと、ロシアのスポーツ専門局『Match TV』が主催者側を直撃する。開催地トゥーラでスポーツ大臣を務めるドミトリ・ヤコブレフ氏だ。なぜ政治色が強くなったのかという質問に対して、同氏は「そんな要素などいっさいなかったと考えているし、素晴らしいショーだった」と強調しながらも、「何人かの選手たちが心配している様子だったのは確かだ。それでも、ちゃんと話をして互いを理解し合い、最終的には楽しく滑ってくれた」と、どこか歯切れが悪い。氏はさらに「オリンピックの理念である『スポーツと政治の分離』を実践しているのは、もはやロシアだけだ。他の国々は忘れてしまっている」と言い放った。
トゥーラ州政府が独断で試みた演出だったのか。それともプルシェンコ夫妻も一枚噛んでいたのか。真相は闇の中だ。ルドコフスカヤ氏は、「私たちのショーはこれから、ロシア全国15会場を回ります。素敵なサプライズがたくさんあるので期待してください。次は4月16日、1万2000人収容のサンクトペテルブルクでお会いしましょう!」と呼びかけた。だが次回以降、結果的に政治利用されたスケーターたちが参加を辞退する可能性は否定できない。
構成●THE DIGEST編集部
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