日本スキージャンプ界のエースが、またしてもショッキングな事態に見舞われた。

　現地10月２日、ノルディックスキー・女子ジャンプの高梨沙羅が海外での今季初戦となるGPクリンゲンタール（ドイツ）大会に参戦。９月30日の同大会予選では124・5メートルを飛び、４位に食い込んで難なく通過していた25歳だったが、この日は予期せぬ事態に見舞われた。なんと１本目の試技でスーツ規定違反によって失格処分となってしまったのである。

　思い出されたのは、今年２月の北京五輪での一幕だ。

　同大会でも高梨は１本目の直後にスーツ規定違反を言い渡され、「記録なし」の判定に。２本目で流石のリカバリーを披露して日本の４位入賞に貢献したが、人目をはばからずに悔し涙を流していた。

　昨季終了後に進退について熟考した末、６月に高梨は公式インスタグラムで競技続行を宣言。復帰戦となった８月のサマージャンプ蔵王大会では２位に入り、上々の滑り出しを見せていたが、またしても国際舞台で失格処分となったのである。
  　もっとも、高梨が涙した北京五輪の混合団体では、ドイツやオーストリア、ノルウェーなど有力女子選手たちの違反判定が続出した。そのため、今季から国際スキー連盟（FIS）は測定方法を変更。立った状態での測定から仰向けでの測定に切り替え、そのうえで選手のサイズ測定にはレーザー機器を導入し、股下の長さを正確に計測する方式を取った。

　これで検査の矛盾は解消されると見られていたが、今大会では予選で昨季女子ワールドカップ総合優勝のマリタ・クラマー（オーストリア）もスーツ規定違反で失格。さらに高梨がそれに続いてしまったため、海外メディアでも小さくない反響が起こっている。

　欧州衛星放送局『Euro Sport』のポーランド人記者であるドミニク・フォルメーラ記者は「サラ・タカナシは北京の悪夢が再び蘇った」と自身のツイッターでレポート。衝撃の大きさを端的に伝えている。

　なおGPクリンゲンタール大会の日本女子勢では、伊藤有希が４位、宮嶋林湖が８位、勢藤優花が11位、小林諭果と中山和がともに16位でフィニッシュ。北京五輪で金メダルを手にしていたウルサ・ボガタイ（スロベニア）が優勝を飾った。

構成●THE DIGEST編集部

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