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紀平梨花、「中部が終わってからはやめておこうと思った」と心情を吐露。坂本花織は団体戦へ抱負「みんなで頑張れる」

湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

2022.10.07

坂本花織(左)と紀平梨花(右)。二人は同じチームで8日のジャパンオープンに挑む。(C)Getty Images

 10月8日、フィギュアスケートのシーズン到来を告げる国際大会「ジャパンオープン」の前日公式練習がさいたまスーパーアリーナで行なわれた。

 今年は3年ぶりに日本、北米、欧州の3地域に分かれ、アマチュアとプロの男女混合チームによる対抗戦が復活。各選手のフリーの合計得点をチームの総合得点とする団体戦形式で順位を決める。なお、国際スケート連盟(ISU)公認の大会だが記録は非公認だ。

 女子には日本の坂本花織が登場。2月の北京五輪では銅メダルを獲得し、今年の世界選手権では2014年の浅田真央以来、日本女子8年ぶりの金メダル。名実ともに、女子のエースになった彼女は、「久しぶりに4人(ほか3人は紀平梨花、宇野昌磨、三浦佳生)で戦うのが楽しみ。団体戦はけっこう好きなので、個人競技だけどみんなで頑張れるのは好き」と、団体対抗戦ならではの楽しみを語った。

 この日の公式練習では、中野園子コーチのアドバイスを聞きながら、最後まで氷上に残り入念にジャンプ練習を繰り返した。

「世界選手権を優勝したのが恥ずかしくならないような成績を残すのもあるけど、切り替えて目標を達成できるようにしたい。今季は2戦目ですけど、ロンバルディア杯よりいい演技をしたい」

 9月16日にイタリアで行なわれたチャレンジャーシリーズ、ロンバルディア杯の一週間前に負傷した右手小指骨折の状態については「病院に行けてなくて現状は分からない。今も痛い所を見ると、まだ治り切ってないですけど、生活に支障はなくなってきたので、悪くはなっていないと思います」と、持ち前の花織スマイルで演技に問題ないことをアピールしている。
 
 一方、9月24日の中部選手権で525日ぶりに実戦復帰した紀平は「中部選手権が終わってから、その時点では(出場は)辞めておこうかなと思った」と、欠場する考えを持っていたことを明かした。この日の公式練習も、紀平らしい切れ味鋭いジャンプは影を潜めた。曲かけ後はスピン、スピンなどを簡単に確認し、他の選手らがまだ練習する中、一人早めにリンクから上がった。

「少し痛みが出るけど、徐々にやっていけば大丈夫。私の中では不安もあったけど、急に考えが変わって出た方が経験になるし。練習も控えめだが出ようと決心しました」と出場するかどうか、最後まで葛藤していた胸の内を吐露した。この日の紀平の表情に悲壮感はなかった。

 昨年7月に紀平は右足を疲労骨折し、グランプリシリーズを欠場。北京オリンピックの最終選考会を兼ねた12月の全日本選手権も出場できず、夢だったオリンピック出場は叶わなかった。

 迎えた今シーズン、まだ完全復活には程遠い出来であることは本人が一番理解している。それでも紀平は自ら"スケートを滑りたい"という気持ちを優先した。

「試合の雰囲気も味わえるので、久しぶりの公式試合ですけど、緊張感を感じ過ぎず、思い切って本番は足のことを気にせずやっていきたい」

 それぞれの想いを胸に、フィギュアスケートシーズンがいよいよ始まる。

取材・文●湯川 泰佑輝(THE DIGEST編集部)

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