すっかり鎮静化していた騒動だが、まだまだ火種はくすぶっていたようだ。

　現地10月18日、韓国メディアが一斉に報じたのが、元韓国女子バレーボール代表のアタッカーであるイ・ジェヨンの新たな動きだ。韓国女子プロバレーボールリーグの「ペッパー貯蓄銀行AIペッパーズ」が彼女の獲得に向けて２度の交渉を行なったとされ、瞬く間にビッグニュースとなったのである。
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　シーズン開幕を目前に控えたタイミングで、普通ならばなんら問題のない交渉だろう。しかし、イ・ジェヨンは双子の妹であるダヨンとともに一大スキャンダルを巻き起こし、2021年の韓国スポーツ界を激震させ、一時はパブリック・エネミーと位置付けられた人物。高校時代のいじめ加害が暴露されたのがきっかけで、反省も謝罪をせずに国民感情を逆なでし、あろうことか被害者を名誉棄損で訴えるなど、その振る舞いが大バッシングを浴びたのだ。

　所属していた興国生命ピンクスパイダースから無期限の出場停止処分を言い渡されると、韓国バレーボール連盟からは代表追放処分を受けて、念願だった東京五輪出場の夢が露と消えた。国内での居場所を完全に失った姉妹は、逃げるように新天地をギリシャに求めて、キャリアの続行を決断したのである。
 
　あれから１年近くが経過し、韓国国内ではさして話題にも上らなくなっていた。姉ジェヨンは膝の深刻な怪我のため、今年初めに帰国して手術に踏み切り、長いリハビリ生活を強いられた。一方妹のダヨンはギリシャのPAOKからルーマニアのラピド・ブカレストへのステップアップ移籍を実現させ、名セッターとして活躍を続けている。

　オフにダヨンが帰国してSNS上で近況を報告しても、まったく炎上には至らなかった。しかしながら今回の国内復帰に向けた動きは、さすがに時期尚早とばかりに、眠っていた国民の反感意識を蘇らせたようだ。

　現地10月19日、韓国女子プロバレーボールリーグは出場チームの監督や主力選手が一堂に会してPRするイベント「開幕メディアデー」を開催した。その会場の外では、イ・ジェヨンの復帰に抗議するファンのデモが起こり、SNS上でも批判的な意見が続出。地元メディアは「絶対に許さん！」「あまりにも無責任だろ」「まずはちゃんと謝罪せよ」「ニュースを聞いてめまいがした」「問題は解決していない。復帰など論外だ」といった彼らの声を紹介している。