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「完全に馬鹿げている」WADAが要求する“団体金剥奪”に露関係者が憤怒!「ガトリンは2回失格で五輪王者」と皮肉も

THE DIGEST編集部

2022.11.16

WADAが要求したワリエワ(左)の北京五輪団体金メダル剥奪について、露関係者は陸上の五輪王者ガトリン(右)を例に出し反対の意見を述べた。(C)Getty Images

"天才少女"に求められた処分の行方に、世界のフィギュアファンが視線を注いでいる。

 11月14日、スポーツ仲裁裁判所(CAS)は世界アンチ・ドーピング防止機構(WADA)が、女子フィギュアスケーターのカミラ・ワリエワに対し、『4年間の出場停止』『昨年12月25日(ロシア選手権)を含む彼女が出場した大会成績(2022年ヨーロッパ選手権)の取り消し』『2022年北京オリンピック団体金メダルはく奪』などを求めたと発表した。
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 今年2月の北京オリンピックでワリエワ(当時15歳)は、フィギュアスケート団体戦でロシア・オリンピック委員会(ROC)の一員として金メダルを獲得。しかし、個人戦の前に、ドーピングサンプルから禁止薬物のトリメタジンが検出されたことが判明した。それでもCASはワリエワの個人戦への出場を許可し、結果4位に入賞した。ところが団体戦で銀メダルのアメリカ、銅メダルの日本の選手たちには、いま現在もメダルが授与されていない。

 WADAのリリースは露フィギュアスケート界に大きな衝撃を与え、現在もロシア国内では緊迫した状況が続き、見識者からは様々な意見が飛び交っている。

 露スポーツ専門チャンネル『Match TV』によると、ワリエワが所属する『サンボ70』でエテリ・トゥトベリーゼチームの振付師を務めるアレクセイ・ジェレズニャコフ氏は、「ワリエワにWADAが4年間の資格はく奪を要求しても、CASが彼らの求めている決定を下すとは限らない。まだ何も承認されていないし、公聴会も開かれていない」と静観な構えを示す。

 世界選手権10連覇をはじめ1972年札幌オリンピックから3大会連続で金メダルを獲得した、"史上最強のペア女王"と称されているイリーナ・ロドニナ氏は、「CASの判断を待つしかない。状況がどうなっているのか、具体的にどのような主張なのか、訴訟の根拠は何なのか、私たちには分かりません。まだ正式決定ではないので、慌てずに裁判所の決断を待ちましょう」と、『Match TV』の取材に答えている。

 別メディア『RBC Sports』は、1993年アイスダンス世界選手権金メダリストのアレクサンドル・ズーリン氏を直撃。同氏はWADAの要求に怒りを隠せず、「これはすごく不公平な話だ。女子シングルで私が一番好きなカミラには、全く理解できない物質の痕跡が残っていた。ワリエワの処分に何か違うことを期待するのは無謀だ」と語る。
 
 加えてズーリン氏は、世界のフィギュアスケートの発展を損なう恐れさえあると訴え、言葉がさらにエスカレートする。

「これは明らかに心理的なプレッシャーでもある。(例えるなら)カミラは300年間の選手資格をはく奪されて、死刑宣告をされたようなものだ。彼らの要求は完全に馬鹿げている。ロシアのアスリート抜きの大会で何が起こるのか、見るに耐えられない。ある種ひどいスケーティングだ」と同氏は付け加えた。

 最後は吐き捨てるように、「ジャスティン・ガトリンというランナーがいますが、彼は2回失格になったのにオリンピックチャンピオンになりました。彼は大量のドーピングをしていたので、信じられないスピードに達することができた。彼はアメリカのような国に住んでいるから、全てが許される」と皮肉を述べた。

 ズーリン氏が例に挙げたガトリンは2004年アテネオリンピック100mで金メダルに輝き、世界選手権でも多くのメダルを獲得した米国陸上界のスター選手だが、過去ドーピング違反で2度出場停止処分を受けている。ガトリンは今年40歳の誕生日となる2月10日に、自身のインスタグラムで現役引退を表明した。

 露フィギュア界を揺るがすワリエワのドーピング疑惑。決着は、まだまだ長引きそうだ。

構成●THE DIGEST編集部

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