謎の男の乱入に、“お騒がせ”４回転ジャンパーも困惑した。

　現地時間11月20日、ロシアグランプリ第５戦サマーラ大会が行なわれたが、会場の熱気に水を差すような、とんでもないハプニングが起きた。

　事件が起きたのは、女子フリー。北京オリンピック銀メダルのアレクサンドラ・トゥルソワの演技直後だった。演技を終えたトゥルソワに観客から大歓声が贈られるなか、突然フードを被った、“謎の男“が花束を持ってリンクに乱入した。ファンと思われる男は花束を持って、直接トゥルソワに渡そうとする。トゥルソワは困惑した表情を見せたが男から花束を受け取ると、フードを被った男は何事もなかったかのようにリンクを出た。
【動画】トゥルソワに直接渡したかった？”謎の男”の愚行をチェック

　トゥルソワは、「花束を持った男性が氷の上に現れたときは驚きました。なぜ出てきたのか分からない」と、ロシアメディア『FS Gossips』に当時の状況を語っている。大会の主催者関係者によると、この男性の身柄は既に拘束され500から1500 ルーブル（約1,200円から3,500円）の罰金が科せられると、ロシアスポーツ専門メディア『Match TV』が報じている。

　演技直後とはいえ、一つ間違えれば大惨事にもなりかねない状況だった。フィギュアスケーターの神聖な場である氷上に、部外者が土足で侵入する。この愚行を防げなかった主催者に、ロシア国内からは非難の声が上がっている。

　2017・18年ロシア選手権４位で、2019年のヨーロッパ選手権でも４位になった実力者スタニスラワ・コンスタンティノワは、「花束を受け取るのは普段はとても嬉しいと思いますが、これは主催者側の怠慢であり許せない過失です。危険かもしれません」と、後手に回った主催者の対応を猛批判した。
  　加えて、コンスタンティノワは同じスケーター視点で次のように訴える。

「彼女たちアスリートを見るために、様々な人たちが集まってきます。（トゥルソワには）温かいメッセージが込められた花束が贈られたことを願っています。しかし、このまま氷の上に飛び出してしまう人が出てくるのは、ちょっと怖いですね。競技中にやられた場合はどうなりますか？　その時の恐怖を想像できますか？」と『Match TV』に語っている。

　思いもよらぬトラブルに見舞われたトゥルソワ。サマーラ大会で彼女は、４回転ジャンプの転倒が響き２位に終わったが、ファンには感謝を述べている。

「最善を尽くしました。（前回の）ソチ大会より良かったです。観客はウォームアップの間も非常に声援を送ってくれて、私はとても嬉しく思います。ファンに感謝します」

構成●THE DIGEST編集部

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