フィギュアスケートの世界選手権が3月22日に開幕。残すところ26日のエキシビションのみとなった。22日といえば、米マイアミ州で開催されたワールド・ベースボール・クラシック（WBC）決勝で日本代表がアメリカ代表を破り、14年ぶりの世界一に輝き日本中が歓喜に沸いた日でもある。

　そんななか、さいたまスーパーアリーナに世界のトップスケーターたちが集結。世界最高峰の戦いが４日間行なわれた。日本勢の活躍が目立ち、宇野昌磨と坂本花織は大会２連覇を飾り、ペアの”りくりゅう”こと三浦璃来＆木原龍一も初の金メダルに輝き、村元哉中＆高橋大輔組は日本勢初のトップ10まで、あと一歩まで迫った。

　各カテゴリーで自己ベストを更新する素晴らしい演技が展開されたなか、演技後のスケーターたちが絶賛したのは会場に詰めかけた日本人の応援スタイルだった。日本人だけでなく、海外スケーターにも大きな声援を送り、その選手の国旗を振り、なかには手作りのうちわなどで応援する姿が会場で多く目についた。

　海外スケーターたちは、その光景に驚き感動した表情で、スタンドを見つめる姿が目立った。なかでも、アイスダンスで悲願の金メダルを獲得したアメリカのマディソン・チョック＆エバン・ベイツ組は「日本のお客さんから凄まじいエネルギーを感じることができた」と、会場に詰めかけた日本人の応援、声援を称賛している。
  　チョックは「何千人もの観客に囲まれて息を飲むような魔法に包まれた空間のなかで演技することができた」と興奮して語る。他にも、銀メダルに輝いたイタリアのシャルレーヌ・ギニャール＆マルコ・ファブリも「私たちもマディソンと同じ気持ちです」と同調する。

　ファブリは「日本の観客の皆さんが素晴らしくて、良い雰囲気のなかで滑ることができました」と言うと、「彼らの反応、私たちの演技を応援、サポートしてくれるのは嬉しい。コレオステップのときに私の目に映った２人の女性の姿は忘れることができない」と、印象的だったシーンを回顧した。

　銅メダルのパイパー・ギレス＆ポール・ポワリエ（カナダ）組は「日本の皆さんの応援は本当に素晴らしく、絶賛されるべきだ」と強調する。ポワリエは「私たちは３か月、競技から離れていましたが、また大会に戻ってきた喜びもあり本当に良かった。すべての瞬間を楽しめたし、幸せな気分でした」と充実した表情で語ると、「（演技後に）お辞儀した時に私たちの名前や多くのカナダ国旗を見たときは感動した」と、ギレスは笑顔で声を弾ませた。

　特定の選手だけでなく、全てのスケーターに愛情と敬意を表す――。日本の応援スタイルに海外スケーターたちは感動に浸った４日間だった。

取材・文●湯川泰佑輝（THE DIGEST編集部）

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