３月23日、フィギュアスケートの世界選手権は２日目を迎えペアフリーが行なわれ、ショート首位で終えた日本の三浦璃来＆木原龍一が初優勝した。ショート、フリー、合計すべて自己ベストを更新する演技に、会場のさいたまスーパーアリーナは大歓声に包まれた。

　この種目で日本ペアが優勝するのは史上初めて。しかも、同一シーズンにグランプリファイナル、四大陸選手権、世界選手権の主要国際大会を制す『年間グランドスラム』を達成した。

　三浦は「優勝できたのは嬉しい」と話すが、「自分の弱さが出て、フリーのミスがあって悔しい」と後半のスロージャンプの着地ミスを悔いた。「たぶん、もう１回トライしたら、あれは踏ん張れた」と言うと、木原から「それは、みんな言うでしょ」と思わずツッコミが入り、記者から笑いが起こった。「自分たちの弱さが出てしまったので、来シーズン少しずつ詰めていけたらいい」と、二人は来季への課題を口にした。

　年間グランドスラムは「意識してなかった」と木原は言うが、「達成できて良かったですし、日本のペアの子たちが挑戦してみようと、いいキッカケになったらいい」と今後の日本ペアの増加を願った。
  　一方、銀メダルを獲得したアレクサ・クニエリム＆ブランドン・フレージャー（アメリカ）と、銅メダルのサラ・コンティ＆ニッコロ・マチー（イタリア）は、記者会見で日本のスケートファンの対応を絶賛している。

　フレージャーは、演技後に星条旗を掲げる多くの日本人の姿に感動。「クニエリムと一緒に代表してコメントしたい」と前置きしたうえで「日本の皆さんの前で滑れるのは本当に大事です。大会やアイスショーに関係なく、観客の皆さんは本当に素晴らしい」と日本人だけでなく、海外スケーターにも声援を送るスタイルを称賛した。

　イタリアのマチーは「私たち２人にとっては、今大会が初来日なんです」と、日本を訪れたのが今回が初めてだと明かす。「本当に素晴らしい体験でした。演技が終わって振り向いたらスタンディングオベーションだった」と演技直後の光景を回顧した。

　同選手は「彼女に『見て！すごくない！？』と思って、演技後に声をかけました。本当に想定外の出来事でしたし、非常に嬉しかったです。こういう所がすごくいいところだと思っています」とイタリアの応援バナーを揺らす日本のスケートファンに感謝を述べた。

　海外のトップスケーターからも称賛の声が届く日本のスケートファンの応援。多くのアスリートが存分なパフォーマンスを発揮するには、”声援”はやはり欠かせないパーツである。それを象徴したワンシーンだった。

取材・文●湯川泰佑輝（THE DIGEST編集部）

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