2023年のF１は３戦を終えたばかりだが、アルファタウリの角田裕毅のここまでの評価はすこぶる良いものとなっている。

　チームの車「AT04」は性能面で明らかに他車に劣るため、どのレースでも苦戦が予想されてきたが、22歳のドライバーは可能な限り力を引き出し、冷静なレース運びを見せながら、チャンスを逃すことなく順位を上げ、開幕戦バーレーン・グランプリ、サウジアラビアGPではポイント圏内に肉迫しての11位フィニッシュ、そしてオーストラリアGPではリスタート後の混乱をかわして５番手まで浮上し、最終的には他車のペナルティーによる繰り上げとはいえ、見事に10位入賞を飾ってみせた。
  　ここまで、しっかり成長ぶりを見せつけている角田には、F１公式サイト『F1.com』も注目し、「角田は今季明らかに改善された」と称賛した上で、彼の何が変わったのかを検証している。

　同メディアは、過去２年の角田が「一貫性に欠け、チームメイトのピエール・ガスリーに簡単に打ちのめされた」とし、「フランツ・トスト代表の信頼を受け続け、チームでの３年目を迎えたものの、F１で成功する才能を持っていることを証明する最後のチャンスなる」と指摘するも、彼が前評判の高かったニック・デ・フリースを新たなチームメイトに迎え、戦前は海外メディアによって不利を予想されたにもかかわらず、予選、決勝ともにここまで全てチーム内競争で勝利を飾っていることについては「印象的だ」と評価した。

　今季の角田については、「彼に近い人間によれば、この日本人ドライバーは昨年とは別人だという。エンジニアとのコミュニケーションが改善され、より落ち着いて効率的にレースの週末に臨むことができている。また自身の才能を活用し、それらをコース上でより良い結果に変換するため、より多くの方法を見つけている」と記述。そして、そのような変化を見せたきっかけのひとつは、チームメイトが変わったことにあるという。

「親密な関係を築いてきたガスリーが、チームを離れた。角田はセットアップと週末のアプローチに関してこのフランス人ドライバーから多くのことを学んだが、絆の太さがコースの内外でのプレッシャーを高めるのに役立った一方で、おそらく角田にとってはこの環境が快適すぎたため、経験豊富なガスリーほど効率的に『仕事モード』に切り替えることができなかったのだろう。しかし、２シーズンを終えた今こそ、チームメイトと別れを告げ、角田が自分の道を歩み出すのに相応しい時だった」