モンスターの鮮やかな劇勝に日本列島が興奮に包まれた。

　7月25日、東京・有明アリーナで開催されたボクシングのWBC・WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチで、前４団体統一バンタム級王者の井上尚弥（大橋）が2団体統一王者スティーブン・フルトン（米国）に挑み、8回1分14秒でTKO勝ち。新階級での初陣にして2つのベルトを奪取し、4階級制覇を成し遂げた。

　井上は序盤から積極的に攻めた。強力なジャブからのコンビネーションを的確に繰り出して主導権を握ると、フルトンは徐々に下がっていった。

　中盤はフルトンも反撃するが、井上もうまく対応して一進一退の攻防が続く。

　迎えた第８ラウンド、ついにフルトンの牙城が崩れた。井上の左ボディからの右ストレートが炸裂、さらに怒涛のラッシュでクールボーイからダウンを奪う。一度は立ち上がったフルトンだったが、コーナーに追い詰められて井上の猛打を浴びると、耐え切れず再びマットに沈むと、レフェリーが試合を止めた。

　無敗の王者に初めて土をつけた井上。前日には「バッチリ仕上がった」と宣言した通り、電光石火の攻撃で勝利を手繰り寄せた。
  　モンスターの快勝に、海外の識者たちも賛辞を送っている。あらゆる海外のボクシング情報を発信し、世界的ボクサーのプロモーションやマッチメイクを手がけている米プロモーション『Top Rank Boxing』は、井上のTKO勝利を即ツイッターに共有。「破壊マシン」というシンプルな言葉を綴り、驚愕シーンを称えている。

　同じくボクシングやUFC、ベラトールなどのMMAをはじめとした格闘ジャーナリストのモハメド・マンスール氏は「第8ラウンドでスティーブン・フルトンをノックアウトしたナオヤ・イノウエのパンチを見よ！」と自身のSNSに投稿。息を飲むTKOに興奮を隠せず、感嘆の声を漏らす。英スポーツラジオ局『talkSPORT』の記者を務めるマイケル・ベンソン氏は４本のベルトを身体中に巻きつけた井上の写真をアップ。過去の世界王座を列挙し、偉大な金字塔を刻んだ日本人ファイターを振り返っている。

　試合後にはこの日、リングサイドで見守ったWBA・IBF同級王者のマーロン・タパレス（フィリピン）に向けて、「次戦、統一戦をしたい」と井上は表明。タパレスは受諾し、年内での4団体統一戦実現の可能性は高まった。モンスターの無敗伝説は、いったいどこまで伸びるのか。その強さは底知らずだ。

構成●THE DIGEST編集部

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