「勇敢」「聡明」「パワフル」「スピーディー」「スペクタクル」「アンビリーバブル」…。これらのワードは、ブラジルのメディアやバレーボールのエキスパートたちが日本代表を表現するために使った言葉だ。

【動画】フルセットまでもつれた熱狂の日本対ブラジルを再チェック！

　日本がFIVBバレーボール・ネーションズリーグ2023で３位になり、初めて表彰台に上がった快挙については、実はブラジルではそれほどのサプライズではなかった。なぜならその前のブラジル戦で十分に驚かされていたからだ。

　ブラジルバレーはとりわけ2000年代に入って世界の頂点に長く君臨しており、その強さには自負がある。ブラジルと対戦するまで、日本は全勝で落としたセットも３つだけだったから実力を持っていることは知られていたが、それでもブラジル（試合時点で世界ランキング２位）が日本（同６位）に敗れるとは正直誰も思っていなかったのだ（６月22日に開催された予選ラウンド第２週フランス大会で、日本はセットカウント３対２でブラジルに勝利）。

　ブラジルのバレー解説者の第一人者マルコス・モラエスはこう語る。

「試合前は誰もが別な試合展開を予想していた。日本は2019年から４年間ブラジルを一度も倒すことができなかった。もっと言えば、勝てないだけではなく１セットも取れていなかった。だからこの展開には正直びっくりした」
  　元代表監督だった名将ベルナルジーニョも言う。「もしかしたらストレート負けするのではとひやひやした。サッカーのワールドカップ・ブラジル大会準決勝でドイツに１対７で敗れたミネイロンの惨劇の二の舞になるかもしれないと焦ったよ」。

　ブラジルを率いるレナン・ダル・ゾット監督は、かつて自身も代表選手だった人物だがこの試合の感想をこう話していた。「ブラジルは日本にとても苦しめられた。我々は日本のスピードの速さに圧倒され、自分たちらしいプレーを構築することがなかなかできなかった。日本の選手たちの本能でプレーをしているかのような見事なテクニックにも驚かされた」。

　日本のテンポの速いプレーにはブラジルのメディアも目を見張った。「日本はまるでポイントをハイスピードで量産するマシンのようだった」とは、サンパウロの日刊紙フォルハのコメントだ。