度重なる悲劇に陸上界のレジェンドも驚きを隠せなかった。

　現地８月19日にハンガリー・ブダペストで開幕した世界陸上。大会初日の女子１万メートル決勝で、先頭を走っていたシファン・ハッサン（オランダ）がゴール手前で転倒する大波乱が起きた。その後、起き上がりゴールインしたハッサンは31分53秒35で11位。エチオピアの表彰台独占もさることながら、東京五輪で5000メートル、１万メートルの２冠を達成した鉄人女王のまさかの結果に会場は騒然とした。

　だが、これだけでは終わらない。最終種目である混合マイルリレー決勝では、最後の最後で信じられない結末が起きたのだ。

　バトンを引き継いだオランダ女子のフェムケ・ボルが先頭でラストの直線へ。しかし、米国のアレクシス・ホームズが猛然とスパートしてボルに並びかける。手に汗握る両国のアンカー対決に会場のボルテージは最高潮。なんとかボルが逃げ切るかと思いきや、なんとゴール寸前で転倒。ホームズが先頭でゴールして、米国が金メダルを獲得。ボルはすぐに立ち上がって３位でフィニッシュしたが、バトンを落としてしまい失格。オランダのメダルは、手元からするりと消えてしまった。
  　胸が張り裂けるようなドラマの瞬間に、五輪で４個、世界陸上で８個の金メダルを獲得した陸上界のレジェンド、マイケル・ジョンソン（米国）氏は自身のXに「このスポーツを長年やってきて、こんなことは見たことがない！」と投稿。「オランダの二人の選手が金メダル獲得直前まで、あと５メートルのところで転倒した。それも、次から次へとだ！」と震撼。「クレイジーだ！」と１日で立て続けに転倒したオランダ選手の心情に心を痛めた。

　海外メディアも、ゴール直前で起きたオランダの悲劇をピックアップしている。オーストラリアのニュースメディア『News.com.au』は「オランダにとって世界陸上の１日目は『暗い日』となり、２つの衝撃的なドラマが起きた」と伝えている。

　他にも、英国の日刊紙『Daily Mail』は「世界陸上でオランダが二重の絶望、金メダル候補の二人が、ゴールまであと数メートルのところでつまずき、栄光を逃す」と報じ、「オリンピック２度の女王ハッサンとボルは、それぞれのレースで自国の金メダルを確実にしたと思われた瞬間、二人とも悲痛な状況に陥った。ハッサンが1万メートルで転倒すると、30分も経たないうちにボルが同じ運命をたどった」として、同情の声が寄せられた。

　波乱の幕開けとなった世界陸上。残り８日間は、どんなドラマが待っているのだろうか。

構成●THE DIGEST編集部

【動画】オランダの鉄人女王がゴール寸前で、まさかの転倒

【動画】混合マイルリレーで最後にドラマが…

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