ハンガリー・ブダペストで開催されている陸上の世界選手権。現地８月26日の女子5000メートル決勝では田中希実（New Balance）が14分58秒99をマークし、８位入賞を果たした。1997年アテネ大会で８位の弘山晴美以来、26年ぶりの快挙である。

【動画】26年ぶりの入賞！ 強豪と肩を並べた田中希実のレース

　今年４月からプロに転向した田中は、今大会1500メートルと5000メートルの２種目でエントリー。先に実施された1500メートルでは準決勝敗退を喫していた。このままでは終われない。現地23日に行なわれた5000メートル予選では、従来の日本新記録を15秒近く更新する14分37秒98と好走した。

　３日前のパフォーマンスを再現することが求められた決勝でも、予選同様に鉄人女王シファン・ハッサン（オランダ）を意識した位置どりで、1000メートルを２分55秒で通過。

　ペースの上げ下げが激しいなかで、淡々とレースを進めた。ラスト４周でペースが大きく上がるも、23歳は世界の強豪に肩を並べる。ラスト１周の鐘とともにスパート仕掛けた選手にわずかに遅れたものの、それでも８番手でゴールした。

　14分53秒88のフェイス・キプエゴン（ケニア）が1500メートルとの２冠を達成。２位にはハッサン、ベアトリス・チェベト（ケニア）が３位が入った。
  　レース後、「ペース変動が激しいレースだったんですけど、そのなかで足を削り取られることなく、ラスト１周まで喰らいつくことができたので、そこは凄く自分自身にワクワクしながら最後まで走り抜けられたなと思います」と喜びを語った田中は、涙を浮かべながら苦しい１年間を振り返った。

「去年のオレゴンは凄く虚しくて、悲しくて。何の悲しみかも分からなかったんですけど、その悲しみが怒りに変わって、この１年間ずっと努力してきて、でもやっぱり怒りだけでなくて、自分自身への許しが必要なんだなと。この大会で初めて気づくことができて、それを気づかせてくれたのは、いろんな支えがあったからで、本当に私一人じゃここまで来れなかったので、本当に感謝の気持ちでいっぱいです」

構成●THE DIGEST編集部

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