動かない。唸らせる。
ラグビーワールドカップ・フランス大会でここまで2勝1敗の日本代表は、スクラムで手応えを掴む。
スクラムとはフォワードが8対8で組み合う攻防の起点。諸外国が大型選手のパワーを活かすシーンに、日本代表は独自の型で対抗する。
【画像】ラグビーワールドカップ2023フランス大会に挑む日本代表メンバー
芝に噛ませるスパイクのポイントの本数も厳密に定めたうえで、所定の手順によって仲間同士が密着する。レフリーの合図でぶつかり合いが起こる直前には、駆け引きの妙で相手を窮屈な体勢にしてしまう。
これでは、体格差に勝る対戦国も力を出しづらい。かくして日本代表は、動かないことで観る者を唸らせるのだ。
「組んだ後に強さを使って押そうとするチームが多い。そこの勝負になったら多分、日本代表は負ける。その前の(相手との)距離、組む前に『(相手が)どうしてくるから、俺たちはこうする』といったディテール…。そこ(を磨くの)に、時間を使っています」
話すのは長谷川慎。現役時代から「スクラム番長」の異名を取る51歳は、日本代表のアシスタントコーチとしてスクラムを教えて8年目に突入している。
現地時間9月17日。スタッド・デ・ニースでの大会2戦目で、イングランド代表を迎えた。
イングランド代表とは昨秋、敵地でぶつかった。序盤からスクラムを押され、13-52と完敗した。
大舞台でのリベンジへ向け、セットアップと呼ばれる組む前の動作を再確認。さらには組み手を水圧で押し返す独自のスクラムマシンを導入し、2列目の選手たちの「足を鍛えた」。心にも訴えた。
「思っていたより強かった、重かった! …ではなく(最初から強いと)思え」
おかげで当日は、キックオフ早々にあった自陣ゴール前での1本を安定させた。続く16分には、敵陣中盤右で押し返こともできた。
ワールドカップは今秋で4度目という堀江翔太は、最前列中央のフッカーで先発していた。自分たちの仕組みに沿って強敵の圧と対峙するのを、心から楽しんだ。
「僕らが(無理に前に)行きすぎたら押されるだろうなという感じ。向こうが仕掛けて(ばらばらになって)きたら、こちらが(8人で)仕掛けるという感覚でした」
結果は12-34で惜敗も、長谷川は「非常にきれいな練習通りのいいスクラム組んでくれた」と選手を称賛。直前の練習で、控えメンバーがイングランド代表の組み方を真似てくれたのも褒めた。
続く28日には、スタジアム・ド・トゥールーズでサモア代表に28-22で勝利。登録されたフォワードの平均体重で約5キロも下回っていた日本代表のフォワードは、ほとんどびくともしなかった。
後半34分頃には、足元を滑らせたような格好でコラプシング(故意に崩す反則)を取られている。ただし、ベースの理論が盤石とあり改善点が見つけやすい。
2列目にあたるロックのワーナー・ディアンズは、「重心を下げてしまった」。組む瞬間、ずっしりとした相手が極端にもたれかかるようになってきても、自分たちの足場を後退させてはいけないのだと再確認した。芝を踏みしめ最前列の仲間を支え、かつ、前に押し出せるようにするのが是だ。
「重心を下げない。それをすれば、自分たちのタイミングでいいヒットができる」
ラグビーワールドカップ・フランス大会でここまで2勝1敗の日本代表は、スクラムで手応えを掴む。
スクラムとはフォワードが8対8で組み合う攻防の起点。諸外国が大型選手のパワーを活かすシーンに、日本代表は独自の型で対抗する。
【画像】ラグビーワールドカップ2023フランス大会に挑む日本代表メンバー
芝に噛ませるスパイクのポイントの本数も厳密に定めたうえで、所定の手順によって仲間同士が密着する。レフリーの合図でぶつかり合いが起こる直前には、駆け引きの妙で相手を窮屈な体勢にしてしまう。
これでは、体格差に勝る対戦国も力を出しづらい。かくして日本代表は、動かないことで観る者を唸らせるのだ。
「組んだ後に強さを使って押そうとするチームが多い。そこの勝負になったら多分、日本代表は負ける。その前の(相手との)距離、組む前に『(相手が)どうしてくるから、俺たちはこうする』といったディテール…。そこ(を磨くの)に、時間を使っています」
話すのは長谷川慎。現役時代から「スクラム番長」の異名を取る51歳は、日本代表のアシスタントコーチとしてスクラムを教えて8年目に突入している。
現地時間9月17日。スタッド・デ・ニースでの大会2戦目で、イングランド代表を迎えた。
イングランド代表とは昨秋、敵地でぶつかった。序盤からスクラムを押され、13-52と完敗した。
大舞台でのリベンジへ向け、セットアップと呼ばれる組む前の動作を再確認。さらには組み手を水圧で押し返す独自のスクラムマシンを導入し、2列目の選手たちの「足を鍛えた」。心にも訴えた。
「思っていたより強かった、重かった! …ではなく(最初から強いと)思え」
おかげで当日は、キックオフ早々にあった自陣ゴール前での1本を安定させた。続く16分には、敵陣中盤右で押し返こともできた。
ワールドカップは今秋で4度目という堀江翔太は、最前列中央のフッカーで先発していた。自分たちの仕組みに沿って強敵の圧と対峙するのを、心から楽しんだ。
「僕らが(無理に前に)行きすぎたら押されるだろうなという感じ。向こうが仕掛けて(ばらばらになって)きたら、こちらが(8人で)仕掛けるという感覚でした」
結果は12-34で惜敗も、長谷川は「非常にきれいな練習通りのいいスクラム組んでくれた」と選手を称賛。直前の練習で、控えメンバーがイングランド代表の組み方を真似てくれたのも褒めた。
続く28日には、スタジアム・ド・トゥールーズでサモア代表に28-22で勝利。登録されたフォワードの平均体重で約5キロも下回っていた日本代表のフォワードは、ほとんどびくともしなかった。
後半34分頃には、足元を滑らせたような格好でコラプシング(故意に崩す反則)を取られている。ただし、ベースの理論が盤石とあり改善点が見つけやすい。
2列目にあたるロックのワーナー・ディアンズは、「重心を下げてしまった」。組む瞬間、ずっしりとした相手が極端にもたれかかるようになってきても、自分たちの足場を後退させてはいけないのだと再確認した。芝を踏みしめ最前列の仲間を支え、かつ、前に押し出せるようにするのが是だ。
「重心を下げない。それをすれば、自分たちのタイミングでいいヒットができる」
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