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「世界No.1ホース」イクイノックスを本命に“二強対決”の図式。大逃げを打つ馬が現れるとすれば――【天皇賞(秋)】

三好達彦

2023.10.28

世界No.1ホースの称号を頂くイクイノックス。天皇賞(秋)連覇でその強さを見せつけるか。写真:産経新聞社

世界No.1ホースの称号を頂くイクイノックス。天皇賞(秋)連覇でその強さを見せつけるか。写真:産経新聞社

 10月29日(日)、第168回 天皇賞(秋)(GⅠ、東京・芝2000m)が行なわれる。出走数は11頭と少ないものの、秋の古馬中距離戦線の頂点を決める一戦にふさわしい豪華メンバーが揃った。

 注目は何と言っても昨年の日本ダービー以来、2度目の対決となるイクイノックス(牡4歳/美浦・木村哲也厩舎)とドウデュース(牡4歳/栗東・友道康夫厩舎)の直接対決であろう。

 28日(土)早朝の前売り単勝オッズで上位人気馬をピックアップしてみる。
 
1番人気:イクイノックス(1.7倍)
2番人気:ドウデュース(2.5倍)
3番人気:プログノーシス(13.3倍)
4番人気:ダノンベルーガ(14.0倍)
5番人気:ジャックドール(15.4倍)

 オッズが10倍を切っているのはイクイノックスとドウデュースの2頭のみ。あとは10倍以上で、最終的にどの馬が3~5番人気を占めるのかは混沌とした状況だ。
 つまり、ことしの天皇賞(秋)は“二強対決”の図式で、実績的にも当然のことだと言えるだろう。

 筆者は東京スポーツ杯2歳ステークス(GⅡ)の際に実馬と、その鮮烈なレース内容を見て以来、一貫してイクイノックスのファンであるから、以下の文章はいくらか割り引いて読んでもらったほうがいいだろうが、あらためて今回もイクイノックスを不動の主役と評価する。

 簡単にイクイノックスの足跡を振り返ってみる。
 いくらか線の細さを残した状態での出走となった昨春のクラシックでは、皐月賞がジオグリフの2着、日本ダービーがドウデュースの2着といずれも僅差で苦杯を飲まされた。しかし、ひと夏を越して馬体に実が入ってたくましさを身に着けた彼は、天皇賞(秋)で上がり3ハロン32秒8という鬼脚を繰り出して大逃げを打ったパンサラッサを捉えて優勝。続く有馬記念でも2着に2馬身半(0秒4)もの差を付けて快勝。事実上、この時点で国内No.1の座に就いた。

 満を持して感慨遠征に臨んだのは、ことし3月末のUAE、ドバイ。ここドバイシーマクラシック(G1)で意表を突く逃げを打つと、そのまま鞍上のクリストフ・ルメール騎手の手がまったく動くことなく、最後は流してゴールしたにもかかわらず、2着に3馬身半差もの差を付けていた。

 このレース結果を受けてIHFA(国際競馬統括機関連盟)が発表した「ロンジンワールドベストレースホースランキング」で世界No.1(129ポンド)の評価を受けた(最新版の本ランキングでも1位をキープしている)。

 ドバイからの帰国後は、ファン投票で史上最多得票(21万6379票)を得て宝塚記念に出走。木村哲也調教師が「(海外遠征のダメージもあって)完全な状態ではない」としつつも、直線9番手から抜け出して先頭に立つと、のちに凱旋門賞で4着に入るセブンスルーシーズの猛追をクビ差退けて優勝。国内外を股にかけてGⅠレース4連勝を達成した。

 それから約4カ月。放牧でじゅうぶんに疲労を取り、またしっかりと乗り込んで仕上げられたイクイノックスは、1週前追いでルメール騎手が跨ってコミュニケーションを取ると、最終追い切りで体の軸がぶれず、明らかに肉付きがよくなったトモを原動力に繰り出す力強いフットワークを披露し、記者たちを唸らせた。

 100%とは言わずとも、現時点で全能力を出し切れる態勢が整った”世界No.1ホース”に逆らう理由はない。
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