専門5誌オリジナル情報満載のスポーツ総合サイト

  • サッカーダイジェスト
  • WORLD SOCCER DIGEST
  • スマッシュ
  • DUNK SHOT
  • Slugger
その他

【名馬列伝】桜花賞を“阻んだ”ベストパートナーと再タッグを組んだシーザリオ。驚異の鬼脚を繰り出し樫の女王へ!<前編>

三好達彦

2023.09.14

福永祐一騎手と臨んだシーザリオはオークスを制した。写真:産経新聞社

福永祐一騎手と臨んだシーザリオはオークスを制した。写真:産経新聞社

 初の牝馬三冠に輝いたメジロラモーヌ、日本ダービーをはじめGⅠ7勝のウオッカ、牝馬三冠に加えてジャパンカップ2勝など牡牝混合GⅠを7勝したジェンティルドンナ、GⅠ9勝という不滅の大記録を作ったアーモンドアイと、顕彰馬に選ばれた牝馬は4頭いる。しかし、それら「殿堂入り」した馬たちにも劣らぬ功績を残し、傑出した牝馬がいることを忘れてはならない。

 その牝馬がレースを走ったのは、わずか6回。GⅠレースを勝ったのは2度。競走生活は、わずか半年あまりに過ぎない。しかし、数々の名馬を送り出してトップトレーナーの名を欲しいままにし、過日、惜しまれながら引退した元調教師の角居勝彦をして「一番好きな馬」と言わしめたのが名牝シーザリオである。

 シェイクスピアの舞台劇『十二夜』の登場人物から名を取られたシーザリオは、父に日本ダービーや春秋の天皇賞、ジャパンカップなどを制したスペシャルウィーク、母に欧州チャンピオンサイアーのサドラーズウェルズ(Sadler's Wells)産駒のキロフプリミエールを持ち、2002年3月31日に北海道・安平町にあるノーザンファーム(早来町)で生を受けた。出生率が1%にも満たない「青毛」という極めて珍しい毛色に生まれた(実際には鹿毛、黒鹿毛よりも黒く見える)。

 角居は預託される際に脚元に弱いところがあると伝えられていたが、実際に牧場で仕上げに入る段階で繋靭帯炎を起こすなどしたため、夏デビューのプランはいったん先送り。トレセンへの入厩は2歳も終わり近くの11月にまでずれ込んだ。
 
 そして、デビューの舞台に選ばれたのはクリスマス当日の12月25日、阪神の芝1600m戦。手綱を託された福永祐一は事前に調教助手から「乗りやすいし、走る馬だ」と伝えられていたが、その通りレースでも素直に折り合い、直線に入ると鋭い末脚を繰り出して、先行勢を一気に差し切って勝利をものにした。

 2戦目は500万下(現在の1勝クラス)の寒竹賞(中山・芝2000m)。ここには牡馬にホープフルステークス(OP、中山・芝2000m)で3着に入った経験を持つアドマイヤフジという有力馬がいたため(単勝オッズ1.7倍の1番人気)、シーザリオはオッズ10.3倍の4番人気にとどまった。

 しかしレースへ行くと、好スタートから3番手を確保して流れに乗り、直線でゴーサインを出されると、先頭のコスモプロデュースを交わし、後方から追い込んだアドマイヤフジをクビ差抑えて優勝。マイル、2000m戦を連勝し、しかも2戦目で破った相手が牡馬のトップクラスだったことから、彼女は一気に評価を上げた。
NEXT
PAGE

RECOMMENDオススメ情報

MAGAZINE雑誌最新号