ロシア・フィギュアスケ―ト界重鎮のスキャンダラス発言が小さくない波紋を広げている。
現地11月8日、ロシア日刊紙『Sport Express』によると、1972年札幌五輪から3大会連続で金メダルに輝き、世界選手権10連覇を果たすなど史上最強の「ペア女王」として君臨した露フィギュア界のレジェンドであるイリーナ・ロドニナ氏が、北京五輪でドーピング疑惑がかけられているカミラ・ワリエワ(ロシア)の一連の騒動について持論を展開。そのなかで同氏が、「ワリエワはもっときれいな嘘をつかないといけなかった」と奇妙な発言をしている。
ワリエワは昨年2月、北京五輪フィギュアスケート団体戦に当時15歳で出場。女子ショート・フリーで驚異的な得点を叩き出し、ロシア・オリンピック委員会(ROC)の金メダル獲得に貢献したが、個人シングルを前に2021年12月25日にロシア選手権で採取された検体から禁止薬物のトリメタジジンの陽性反応が出たことで、大きな騒動となった。
去る9月26日、スポーツ仲裁裁判所(CAS)はワリエワのドーピング問題を巡る審理を開始したが「追加の資料提出が必要」として、聴聞会は11月9日、10日(ともに現地時間)にスイス・ローザンヌで再開すると同月28日に説明した。
ワリエワ騒動の審理が再開を控えたなか、解決の糸口がまったく見えない現状にロドニナ氏は苛立ちを隠せなかった。現在ロシア連邦議会の議員を務めている同氏は露スポーツメディア『Sport24』の取材に対し、「ワリエワが意図的に潰されるターゲットにされていると言われても理解できない」と回答した。
続けて、「私たちは目を覚まし、自分たちの過ちや失態に気付く必要があります。ワリエワについては、もっときれいな嘘をつくことを学ぶべきでした。彼女が間違ってグラスを飲んでしまったという話を誰が信じますか? そんなバカな話があるでしょうか?」と一気にまくし立て、「ロシアに非協力的な国々に私たちの間違いを指摘する機会を与えてしまった」と語った。
以前には「この問題におけるCASの公正さを信じている」とも述べていたロドニナ氏。伝説的アスリートの見過ごすことのできない発言は露メディアに小さくない動揺を与えており、「新たな公聴会の前日に、この説を 『きれいな嘘』と断定するのは大きな間違いだ」と批判するメディアも少なくない。
9月の審理の際、CASの仲裁人の前でワリエワの弁護側は、彼女の身体から禁止薬物が検出されたのは、クリスマスに祖父と同じグラスを使用したことが要因になった可能性があると指摘。彼女の祖父は心臓疾患の治療を受けており、問題の薬物は人工心臓を使う祖父が服用したものが、誤ってワリエワの体内に入ったと主張している。
CASの審理が再開されるなか、『Sport Express』は「この事件はカミラ・ワリエワ個人だけでなく、代表チーム全体、さらにはオリンピックの金メダル問題にまで影響する」と論じ、「だからこそ、ここで(ワリエワの良心とアンチ・ドーピング当局との)妥協はありえない。戦いは最後まで続くだろう」と見通しを立てている。
北京五輪から約1年9か月。いまだ終わらぬ騒動の真相は明らかになるのだろうか。
構成●THE DIGEST編集部
【動画】北京五輪から1年9か月。17歳ワリエワの現在の姿
現地11月8日、ロシア日刊紙『Sport Express』によると、1972年札幌五輪から3大会連続で金メダルに輝き、世界選手権10連覇を果たすなど史上最強の「ペア女王」として君臨した露フィギュア界のレジェンドであるイリーナ・ロドニナ氏が、北京五輪でドーピング疑惑がかけられているカミラ・ワリエワ(ロシア)の一連の騒動について持論を展開。そのなかで同氏が、「ワリエワはもっときれいな嘘をつかないといけなかった」と奇妙な発言をしている。
ワリエワは昨年2月、北京五輪フィギュアスケート団体戦に当時15歳で出場。女子ショート・フリーで驚異的な得点を叩き出し、ロシア・オリンピック委員会(ROC)の金メダル獲得に貢献したが、個人シングルを前に2021年12月25日にロシア選手権で採取された検体から禁止薬物のトリメタジジンの陽性反応が出たことで、大きな騒動となった。
去る9月26日、スポーツ仲裁裁判所(CAS)はワリエワのドーピング問題を巡る審理を開始したが「追加の資料提出が必要」として、聴聞会は11月9日、10日(ともに現地時間)にスイス・ローザンヌで再開すると同月28日に説明した。
ワリエワ騒動の審理が再開を控えたなか、解決の糸口がまったく見えない現状にロドニナ氏は苛立ちを隠せなかった。現在ロシア連邦議会の議員を務めている同氏は露スポーツメディア『Sport24』の取材に対し、「ワリエワが意図的に潰されるターゲットにされていると言われても理解できない」と回答した。
続けて、「私たちは目を覚まし、自分たちの過ちや失態に気付く必要があります。ワリエワについては、もっときれいな嘘をつくことを学ぶべきでした。彼女が間違ってグラスを飲んでしまったという話を誰が信じますか? そんなバカな話があるでしょうか?」と一気にまくし立て、「ロシアに非協力的な国々に私たちの間違いを指摘する機会を与えてしまった」と語った。
以前には「この問題におけるCASの公正さを信じている」とも述べていたロドニナ氏。伝説的アスリートの見過ごすことのできない発言は露メディアに小さくない動揺を与えており、「新たな公聴会の前日に、この説を 『きれいな嘘』と断定するのは大きな間違いだ」と批判するメディアも少なくない。
9月の審理の際、CASの仲裁人の前でワリエワの弁護側は、彼女の身体から禁止薬物が検出されたのは、クリスマスに祖父と同じグラスを使用したことが要因になった可能性があると指摘。彼女の祖父は心臓疾患の治療を受けており、問題の薬物は人工心臓を使う祖父が服用したものが、誤ってワリエワの体内に入ったと主張している。
CASの審理が再開されるなか、『Sport Express』は「この事件はカミラ・ワリエワ個人だけでなく、代表チーム全体、さらにはオリンピックの金メダル問題にまで影響する」と論じ、「だからこそ、ここで(ワリエワの良心とアンチ・ドーピング当局との)妥協はありえない。戦いは最後まで続くだろう」と見通しを立てている。
北京五輪から約1年9か月。いまだ終わらぬ騒動の真相は明らかになるのだろうか。
構成●THE DIGEST編集部
【動画】北京五輪から1年9か月。17歳ワリエワの現在の姿
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