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「NHK杯のジャッジはかなり厳しい」宇野昌磨の”採点疑問視”に海外メディアも反応! 4回転すべて回転不足に異論「責任はあまりに重い」

THE DIGEST編集部

2023.11.26

宇野はNHK杯終了後、採点に対して疑問視する発言をした。写真:田中研治(THE DIGEST写真部)

 世界王者の発言が小さくない話題を呼んでいる。

 11月25日、フィギュアスケートのグランプリシリーズ第6戦日本大会(NHK杯)の男子フリーが行なわれ、鍵山優真が182.88点をマークし、ショートとの合計288.39点で自己ベストを大きく更新する会心の演技で優勝。12月のグランプリファイナル(中国・北京)進出を決めた。

 20歳の若武者と最後までハイレベルな争いを繰り広げたのが、昨年の世界選手権を制した宇野昌磨だった。

 鍵山のひとつ前で滑った王者は、ゆったりとした重厚な音楽『Timelapse / Spiegel im Spiegel』に乗ってスタート。冒頭のループ、そして2つ目のフリップと4回転ジャンプを難なく降りて好発進。したかに見えたが、なんと速報値では「審議」がつき、のちにジャッジは1/4回転不足を示す「q」マークを付けた。

 さらに後半の4回転+3回転の連続トウループにも回転不足がつき、GOE(出来栄え点)の加点があまりつかず、点数は伸び悩んだ。

 終盤のジャンプも「q」マークがついたが、これは6つ目の4回転トウループが2回転となるミスをカバーするため、ジャンプ構成を急きょ4回転+2回転のトウループに変える見事な対応力を見せたもの。体力が落ちる終盤で多少の回転不足は致し方ないとはいえ、結局コンビネーションを含めて4回転ジャンプはすべて回転不足がつく、かなり厳しめのジャッジがついた。

 当然得点は伸びず186.35点。それでも合計286.55点と、圧巻の得点はさすがのひと言。別次元の戦いを繰り広げた日本男子2人にテレビ解説を務めた本田武史氏は賛辞を送ったが、厳しめな採点には戸惑いを隠せなかった。

 宇野は2位が確定した後、NHKのインタビューで「表現もジャンプも僕の中ではいい演技だったと思う」と、決して悪い演技ではなかったと振り返った。そのあと、「終わった直後ですし、いろんな感情はありますけど」と意味深なコメント。

 最後には「今の気持ちとしてはいらんことを喋りそうなんで、今は黙って帰ろうと思います」と苦笑いを浮かべながらインタビューを終えた宇野。のちに取材陣に対して、自身のフリーの採点について疑問視するような発言を残している。
 
 宇野のコメントには海外メディアも興味を示している。

 フィギュアスケート専門メディア『Golden Skate』は「いくつかのジャンプの回転不足に気付きましたが、ジャンプとステップはそれほど悪くなかったので、(スコアに関しては)もっと期待していた」という演技後の宇野のコメントを一部紹介。「ショウマ・ウノは4本の4回転すべてをクォーター内で着氷させた。ミスが重なったところもあったが、それでも2回転をつけ加えて、ステップでも最高難度のレベル4を獲得した」と指摘。ジャッジについての言及はなかったが、会場を支配した世界王者の演技を称えていた。

 同じく専門メディア『Anything GOEs』は「ループとトウループが回転不足になるとは思っていなかった。今大会の採点はかなり厳しい」と宇野がジャッジに異論を唱えたと紹介している。

 さらに、「この大会で、もしかしたらこれが自分の限界で、これ以上はできないのではないかと感じました。でもコーチのステファン(ランビエール)は喜んでいて、よくやったと言ってくれました」という発言にも反応。同メディアのコメント欄には「彼の悪いスコアがすべてを物語っている。ジャッジの責任はあまりに重い」と宇野の意見に同調。曖昧なジャッジ基準に疑問を呈した。

 フィギュアスケートにとってジャッジの採点は絶対的なものだが、世界王者が感じた違和感は波紋を呼ぶかもしれない。激闘から一夜明けた26日、宇野はNHK杯エキシビションに元気に登場。赤いシャツにロックな曲調で力強く氷上を躍動し、観衆から大きな歓声を受け最後は笑顔で応えた。

構成●THE DIGEST編集部

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