マラソン・駅伝

「MGC方式」はベストな選考方法?――女子のレベルは大幅アップ! 男子は設定突破者ゼロも 7人が2時間6分台の好記録

酒井政人

2024.03.14

MGCを制した小山は、大阪で自己ベストを更新した。写真:梅月智史(THE DIGEST写真部)

 3月10日の名古屋ウィメンズマラソンで「MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)ファイナルチャレンジ」がすべて終了した。男子は設定記録(2時間5分50秒)の突破者がゼロ。その結果、MGCで「2位以内」に入った小山直城(Honda)と赤﨑暁(九電工)に続いて、同3位の大迫傑(Nike)がパリ五輪代表に内定した。女子は鈴木優花(第一生命)と一山麻緒(資生堂)に加えて、大阪国際で2時間18分59秒の日本記録を打ち立てた前田穂南(天満屋)がパリに向かうことになる。

 前回の東京五輪から「MGC方式」を採用しているが、この選考方法はベストなのか。MGCファイナルチャレンジを総括しながら考えていきたい。

 3大会あった男子は昨年12月3日の福岡国際が初戦となった。MGC(10月15日)からの期間が短かったこともあり、有力選手の参戦は少なく、日本勢は細谷恭平(黒崎播磨)の2時間7分23秒の4位が最高だった。

 2戦目は2月25日の大阪だ。30km過ぎに飛び出した平林清澄(國學院大)が日本歴代7位の2時間6分18秒で優勝。目標にしていた日本学生記録(2時間7分47秒)だけでなく、初マラソン日本最高記録(2時間6分45秒)も塗り替えた。
 
 そして最終戦となった3月3日の東京には日本人有力選手が集まった。そのなかでオレゴン世界選手権代表の西山雄介(トヨタ自動車)が日本歴代9位の2時間6分31秒で日本人トップ(9位)だった。

 西山は、「オリンピックを決める、その一心で最後まで走りました。設定記録を切る自信もあったんですけど、結果的には全然ダメだったので非常に悔しいです」とレース後は涙した。前半のペースが予定より少し遅くなり、西山に転倒があった。この2点が非常にもったいなかった。

「記録を狙うと力が入る。オリンピックを狙う選手は力が入っていたように思う」と日本陸連の瀬古利彦ロードランニングコミッションリーダーが話していたように、重圧や焦りがレース運びに影響したかもしれない。
 
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「女子はレベルが上がった!」瀬古利彦リーダーも手ごたえを得ている