格闘技・プロレス

バンタム級は日本人が独占! 世界初挑戦の武居由樹がキャリア9戦目で初戴冠! 王座陥落のマロニーも脱帽「彼の強さを称賛したい」

湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

2024.05.07

武居(右)がマロニー(左)を判定で破り、わずか9戦目で王座を獲得した。写真:田中研治(THE DIGEST写真部)

 5月6日、プロボクシングの4大世界戦が東京ドームで行なわれ、WBO世界バンタム級タイトルマッチは同級5位の武居由樹(大橋)が、同級王者ジェイソン・マロニー(オーストラリア)と対戦。12回まで闘い抜いた激闘は判定3-0で武居が難攻不落の王者を打ち破り、わずか9戦目で悲願の世界王座を獲得した。
【PHOTO】マロニーを破り新チャンピオンとなった武居由樹の戦いをプレーバック!|WBO世界バンタム級タイトルマッチ

 元K-1スーパーバンタム級王者の武居は、これがボクシング転向後初の世界戦。27歳のサウスポーは大舞台に臆することなく、切れ味鋭いパンチを序盤から披露した。だが、武居が大きく飛び込んだ左ボディは1、2回と続けてローブローとレフェリーにジャッジされ、2ラウンドに減点を取られてしまう。

 しかし、日本人ボクサーは飛び込みの左ボディをやめず、3回には左ストレートがマロニーの腹部に炸裂。王者が思わずクリンチして嫌がるシーンもあった。

 武居は4回にも華麗に左ボディ、右フックを放ちマロニーをロープ際まで追い詰め、同選手の鼻から出血が確認できるほど有利に試合を進める。だがマロニーも中盤以降はカウンターからの右ストレート、フックを浴びせて武居をヒヤッとさせる。さらに6回のゴング間際に武居の右フックが王者の頭付近を叩き、会場がドッと沸いた。

 だが後半、マロニーがじわじわと手数を浴びせて武居にダメージを蓄積させる。最終12ラウンドはマロニーが猛ラッシュ。完全にKOを狙いにいったが、武居はこれをなんとか最後まで耐えしのぎ、終了のゴングが鳴った。運命の判定で武居の勝ち名乗りが発表されると、会場は割れんばかりの大歓声。武居は歓喜の涙を流し、4万超の観衆は新王者誕生を称えた。
 
 チャンピオンベルトを巻いた27歳は試合後、「KOで倒したかったんですけど、マロニー選手が本当に強くて、マロニー選手のおかげで強くなれました」と王者に敬意を表す。そして、「足立区から来た武居が、東京ドームでチャンピオンになりました!」と声を震わせながら、喜びを爆発させた。

 一方、敗れたマロニーは「負けたので残念な結果だったが、試合中に相手に合わせるのに時間がかかってしまった」と反省。「タケイが素晴らしかったからだと思うが、自分のスタイルを出せなかった。彼の強さを称賛したい」と、果敢に攻めた新王者に脱帽した。注目の今後については「バンタム級の王者が日本に勢揃いしているので、タクマ・イノウエ(井上拓真)への挑戦でもいいし、タケイに今度は挑戦でもいい」と日本人ボクサーとの再戦を示唆した。

 この武居の勝利は、実はバンタム級での日本人ボクサーの快挙を意味する。WBA王座はこの日防衛した井上拓真(大橋)、WBC王座は中谷潤人(M.T)、IBF王座には西田凌佑(六島)が君臨。武居がマロニーからWBO王座を奪還したことで全4つのベルトを日本人が独占する結果になった。

 そして、メインカードでは井上尚弥が"悪童"と称されたルイス・ネリ(メキシコ)を6回TKOで撃破し、スーパーバンタム級の4団体王座を見事に防衛。34年ぶりの東京ドーム興行を最高の形で締めくくった。

取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

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