世界スーパーバンタム級４団体統一王者の井上尚弥が７月16日、都内で記者会見発表に出席し、９月３日に東京・有明アリーナで元IBF同級王者テレンス・ジョン（TJ）・ドヘニー（アイルランド）と２度目の防衛戦を行なうと発表した。

　挑戦者のドヘニーは数週間前から米マサチューセッツ州にあるヘクター・バミューダ氏のジムでトレーニングキャンプのため、この日はプロモーターを務めるマイク・アルティムラ氏が姿を見せた。同氏は会見終了後に囲み取材に応じ、「（ドヘニーは）真剣に練習に取り組んでいる」と話し、「ナオヤ・イノウエは過去に闘ってきた選手たちとは別次元という認識だ。練習もレベルを上げて挑まないといけない」と厳しい表情を浮かべた。

　無敗を誇るモンスターとの対戦が正式に決まった時、ドヘニーは「（ファイトマネーは）いくらもらえるんだ？」と、アルティムラ氏は笑いながら答えた。だが、この試合の意味を問われると同氏は表情を変え、「ただの世界王者経験者と伝説的な選手。勝敗次第で、それぐらいの違いが出てくる大事な試合だ。彼には『イノウエに勝てば、いずれ映画化されるぞ』と言ったよ」と激励したという。
  　気になる来日時期だが、８月の３週目にアメリカから直接来日する予定だ。アルティムラ氏は「ボクシングの公式行事もあるし、可能なら日本に来てからスパーリングもやりたい。移動はなるべく減らしたいしね」とモンスター征伐へ万全な準備をすると説明したあと、「地元に帰ると、子供３人がいて気が散ってしまうから」と最後はユーモラスさを忘れず、会場を後にした。

　ドヘニーは過去３試合連続で大橋ジム興行で来日し、直近では34年ぶりに開催された５月６日の東京ドーム興行の第１試合を務め、ブリル・バヨゴス（フィリピン）に４回２分51秒でTKO勝ちしている。過去最大の強敵に挑むドヘニーは「自分のパワーと不屈の精神を信じている。イノウエの過去の相手のように逃げ回ったり、生き延びることだけを考えはしない。戦争をする。より強い方が勝つだろう」と文書でコメントを残している。

　一方、井上は「試合を通して実力を発揮する選手」と元世界王者の実力を警戒しながら、「一発も触れさせないという気持ちで、自分のボクシングを展開したい」と、こちらも王座防衛に自信を示す。

　見えないところで、両者は早くもバチバチに火花を散らしている。

取材・文●湯川泰佑輝（THE DIGEST編集部）

【関連記事】「気の抜けない相手」井上尚弥vsドヘニー＆武居由樹vs比嘉大吾のダブル世界タイトルマッチが決定！ 9.3有明アリーナでゴング

【関連記事】WBAが井上尚弥に電撃通達したアフマダリエフとの試合指令に海外メディア熱視線！ 元２団体統一王者に太鼓判「エリート中のエリートだ」

【関連記事】「ボクシング界最高の存在」とモンスターに最大級の敬意を示すフェザー級新王者陣営。井上尚弥との対戦が実現する可能性は？