現地7月24日から一部競技がスタートしたパリ五輪は、25日に開会式が行なわれる。そんななか米誌『Time』が「選手村のなかはどんな感じ?」という記事で、各国アスリートが宿泊する選手村をレポートした。
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「スペインに割り当てられた選手村の建物は、パリ北部郊外のサン=ドニ地区にあり、イタリアの住宅棟の隣に立っている。スペインの選手たちが宿泊する9階建ての下層にはアルジェリアの国旗が掲げられていた。近くにはハンガリーのアパートもある。パラグアイやブラジル、アイルランドの一団も同じ一角で生活する」
パリ五輪の選手村は、サン=ドニ、リル=サン=ドニ、サン=トゥアンの3つの自治体にまたがる53ヘクタールの敷地に用意され、セーヌ川沿いの立地となっている。大会終了後は近隣地域の一部となり、2800戸の住宅が提供される予定だ。
パリ五輪の選手村は活気に溢れているという。「2021年の東京五輪、22年の冬季北京五輪では新型コロナウイルス感染症対策のため、選手村の活動や交流は制限されていた。互いが隔離されたパンデミック時代では、試合を終えた選手たちはすぐに退去しなければいけなかった。しかし、今回は試合を終えた選手たちも選手村にとどまり、五輪という一大サーカスを楽しむことができる。試合に臨む選手たちの緊張感と、試合を終えた選手たちの祝祭感が混在するだろう」。
ニュージーランドの施設ラウンジには、クッション性のあるビーズクッションが置かれ、伝統衣装のカカフが展示。モノポリーやジェンガなどのゲームも用意されている。建物のなかを取材した同誌の記者は、キャンディーやコーヒーが用意されているスペースを見学。菓子類が置かれたすぐ近くにコンドームが入ったボウルを目にした。広報担当者がそれに気づき、「食べ物の近くに置きたくはないでしょう」と言って床の端に移動したエピソードも伝えている。
選手村で話題になっているのが室内のエアコンだ。パリ五輪の開催にあたって、エアコンの設置が議論の的になっていた。主催者は五輪における二酸化炭素排出量を抑えながら快適な住環境を実現するために、建物内に地熱冷却システムを設置。室内温度は外気温よりも6度ほど低く抑えられるという。「しかし、米国や英国、香港、イタリア、ノルウェーなどの多くの代表団はパリの酷暑のなかで、このシステムを当てしておらず、独自にエアコンを持ち込んでいる」と、地球環境問題とアスリートが求める快適性に齟齬が生じているとも報じた。
一方で、暑さを問題視しない選手もいるようだ。「私たちにとっては何の問題でもない」と語ったのが、インドのフィールドホッケー選手のクリシャン・バハドゥル・パタクだ。「エアコンがなくても問題ない。インドはいつも暑いから」。また、ドイツのフィールドホッケー選手クリストファー・ルーアも「まあまぁかな」と、選手村の住環境を受け入れているという。
そんななかで同誌記者が指摘したのは、食堂と住宅棟を結ぶ屋外の階段があまりにも狭いこと。「食事に飢えた大柄の選手もいる。一方通行であるはずの通路で選手が行き来した場合、すれ違う必要があるが、階段には“手すりにつかまって下さい”という警告看板が背設置されている」と伝え、「選手たちが階段で躓いて怪我をしなければ幸いだ。心配が杞憂に終わることを祈りたい」と記すほどの状況のようだ。
メインレストランは24時間営業で、一日に世界各国の料理が4万食も提供される予定。さらに同誌が取材した選手村の敷地内にはフィットネスセンターがあり、サウナ施設が6つあるという。男性用と女性が3つずつで、混雑した場合は減量が必要な選手が優先的に利用できる。また、11のランドリー施設があり、1日当たり約8000キロの洗濯物が処理されると伝えている。
選手村の南端には他宗教センターがあり、それぞれ祈りを捧げる専用スペースが設けられている。また、セーヌ川沿いにあるリラクゼーション施設には、マッサージシートのあるリラックスゾーンの「ディスコネクト・バブル」、アーケードゲームやテーブルサッカーなどを楽しめる「プレイゾーン」、巨大スクリーンやステージ、バーなどを備えた社交場「ソーシャルゾーン」があり、バーではノンアルコール飲料を提供。スーパーマーケットやヘアサロン、ネイルサロンなどもある。すべてのアスリートが利用でき、もちろんトレーニング施設も完備している。
選手村ではVIPを除いてアルコールの提供が禁止されている。それでも同誌は、「もし選手たちがアルコールを求める場合は、選手村の外から持ち込まなければいけない。競技が本格的に始まれば、祝祭を楽しむための飲酒がすぐに始まるだろう」と綴って、記事をまとめた。
構成●THE DIGEST編集部
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「スペインに割り当てられた選手村の建物は、パリ北部郊外のサン=ドニ地区にあり、イタリアの住宅棟の隣に立っている。スペインの選手たちが宿泊する9階建ての下層にはアルジェリアの国旗が掲げられていた。近くにはハンガリーのアパートもある。パラグアイやブラジル、アイルランドの一団も同じ一角で生活する」
パリ五輪の選手村は、サン=ドニ、リル=サン=ドニ、サン=トゥアンの3つの自治体にまたがる53ヘクタールの敷地に用意され、セーヌ川沿いの立地となっている。大会終了後は近隣地域の一部となり、2800戸の住宅が提供される予定だ。
パリ五輪の選手村は活気に溢れているという。「2021年の東京五輪、22年の冬季北京五輪では新型コロナウイルス感染症対策のため、選手村の活動や交流は制限されていた。互いが隔離されたパンデミック時代では、試合を終えた選手たちはすぐに退去しなければいけなかった。しかし、今回は試合を終えた選手たちも選手村にとどまり、五輪という一大サーカスを楽しむことができる。試合に臨む選手たちの緊張感と、試合を終えた選手たちの祝祭感が混在するだろう」。
ニュージーランドの施設ラウンジには、クッション性のあるビーズクッションが置かれ、伝統衣装のカカフが展示。モノポリーやジェンガなどのゲームも用意されている。建物のなかを取材した同誌の記者は、キャンディーやコーヒーが用意されているスペースを見学。菓子類が置かれたすぐ近くにコンドームが入ったボウルを目にした。広報担当者がそれに気づき、「食べ物の近くに置きたくはないでしょう」と言って床の端に移動したエピソードも伝えている。
選手村で話題になっているのが室内のエアコンだ。パリ五輪の開催にあたって、エアコンの設置が議論の的になっていた。主催者は五輪における二酸化炭素排出量を抑えながら快適な住環境を実現するために、建物内に地熱冷却システムを設置。室内温度は外気温よりも6度ほど低く抑えられるという。「しかし、米国や英国、香港、イタリア、ノルウェーなどの多くの代表団はパリの酷暑のなかで、このシステムを当てしておらず、独自にエアコンを持ち込んでいる」と、地球環境問題とアスリートが求める快適性に齟齬が生じているとも報じた。
一方で、暑さを問題視しない選手もいるようだ。「私たちにとっては何の問題でもない」と語ったのが、インドのフィールドホッケー選手のクリシャン・バハドゥル・パタクだ。「エアコンがなくても問題ない。インドはいつも暑いから」。また、ドイツのフィールドホッケー選手クリストファー・ルーアも「まあまぁかな」と、選手村の住環境を受け入れているという。
そんななかで同誌記者が指摘したのは、食堂と住宅棟を結ぶ屋外の階段があまりにも狭いこと。「食事に飢えた大柄の選手もいる。一方通行であるはずの通路で選手が行き来した場合、すれ違う必要があるが、階段には“手すりにつかまって下さい”という警告看板が背設置されている」と伝え、「選手たちが階段で躓いて怪我をしなければ幸いだ。心配が杞憂に終わることを祈りたい」と記すほどの状況のようだ。
メインレストランは24時間営業で、一日に世界各国の料理が4万食も提供される予定。さらに同誌が取材した選手村の敷地内にはフィットネスセンターがあり、サウナ施設が6つあるという。男性用と女性が3つずつで、混雑した場合は減量が必要な選手が優先的に利用できる。また、11のランドリー施設があり、1日当たり約8000キロの洗濯物が処理されると伝えている。
選手村の南端には他宗教センターがあり、それぞれ祈りを捧げる専用スペースが設けられている。また、セーヌ川沿いにあるリラクゼーション施設には、マッサージシートのあるリラックスゾーンの「ディスコネクト・バブル」、アーケードゲームやテーブルサッカーなどを楽しめる「プレイゾーン」、巨大スクリーンやステージ、バーなどを備えた社交場「ソーシャルゾーン」があり、バーではノンアルコール飲料を提供。スーパーマーケットやヘアサロン、ネイルサロンなどもある。すべてのアスリートが利用でき、もちろんトレーニング施設も完備している。
選手村ではVIPを除いてアルコールの提供が禁止されている。それでも同誌は、「もし選手たちがアルコールを求める場合は、選手村の外から持ち込まなければいけない。競技が本格的に始まれば、祝祭を楽しむための飲酒がすぐに始まるだろう」と綴って、記事をまとめた。
構成●THE DIGEST編集部
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