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「暴走して失格裁定」絶体王者リネールに”世紀の暴挙”。柔道ジョージア選手の愚行に仏メディア断罪「完全にひねくれた愚か者」【パリ五輪】

THE DIGEST編集部

2024.08.03

勝利したリネール(青)の顔を手で押し付けるなど、数々の蛮行を犯したツシシビリ。反則負けの失格処分となった(C)Getty Images

勝利したリネール(青)の顔を手で押し付けるなど、数々の蛮行を犯したツシシビリ。反則負けの失格処分となった(C)Getty Images

 母国の英雄が3度目の戴冠を果たすも、怒りは収まる気配がない。

 現地8月2日、柔道の男子100キロ超級決勝は地元フランスのテディ・リネールが世界ランク1位のキム・ミンジョン(韓国)に3分44秒、払い腰で一本勝ち。2012年ロンドン、16年リオデジャネイロ大会に続き同級で3個目の金メダルに輝いた。

 フランスに今大会最初の金メダルをもたらすリネールの鮮やかな一本勝ちに会場は大熱狂。トリコロールの旗が揺らめき、まるでコンサート会場のようなコールが鳴り止まなかった。

 しかし、だ。この決勝の2つ前に英雄に負けた対戦相手の”大暴挙”が物議を醸している。

 リネールは準々決勝でジョージアのグラム・ツシシビリと対峙した。勝負はリネールの鮮やかな一本勝ちで決した…はずだった。王者の快勝に会場が大きく沸いた直後、しばらく覆いかぶさったまま相手の襟から手を離さなかったリネールに対し、相手のツシシビリがリネールを蹴り上げ、寝転んだリネールに顔を近づけ何やら”言葉”をかけた後、あろうことかキックまで見舞ったのだ。

 リネールは両手を挙げ、自身は何もやっていないとアピール。2人は軽くもみ合いながら立ち上がった後、リネールが会場を煽ったことに腹をたてたのか、ツシシビリが再びリネールに詰め寄ると会場は大ブーイング。審判が2人を引き離したあと、コールしたのはリネールの一本勝ちではなく、ツシシビリの「反則負け」を宣告。大荒れの決着となった。

 最後は歩み寄り、軽いタッチを交わした2人だったが、ツシシビリは両拳を握り締めて握手を拒否。その行為に会場はさらにヒートアップ。引き揚げるジョージア選手に再び大ブーイングが浴びせられた。
 
 無論、ツシシビリが犯した蛮行はフランスの怒りを買っている。欧州の大手スポーツ局『Eurosport』のフランス版は該当映像を共有したうえで、「グラム・ツシシビリが、テディ・リネールと一触即発。緊迫した試合」と報道。同選手の振る舞いに苦言を呈している。

 同じくフランスのスポーツメディア『FranceTV Sport』は「リネールが3度目の五輪タイトルを夢見たとき、対戦相手のツシシビリは試合終了間際に完全にひねくれた愚か者になった」と皮肉を交えて断じた。ニュースメディア『Cerfia』は、仰向けになっているリネールの顔を手で押さえつける写真を添えて、「ツシシビリは試合に敗れた後、暴走して失格裁定となった」と、反則負けのキッカケとなった暴言らしきシーンを紹介した。

 一方で、パリに拠点を置く日刊紙『Le Parisien』は「リネールは倒れる直前に、ツシシビリの前で喜びをあらわにしていた。彼はそれをまったく受け入れることができなかった」と鋭く指摘。リネールにも騒動の一因があったとする見方をしており、「柔道家同士のリスペクトが不可欠な柔道界にとって、これは汚点である」と論じた。

 国際柔道連盟(IFJ)は2日、ツシシビリの振る舞いを問題視とし、即行動に移した。同連盟は公式サイト上で、ツシシビリが出場予定だった敗者復活戦及び3日に実施される混合団体戦の出場を停止する重い処分を下した。「ジョージア柔道家の行動は『柔道の精神』に反する」と厳しく追及している。

構成●THE DIGEST編集部

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